劇場公開日 2017年3月10日

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「海の神々の物語り」モアナと伝説の海 Toshiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0海の神々の物語り

2017年3月17日
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鑑賞方法:映画館

アナ雪には全く食指が動かされなかったが、本作は初期の予告の頃から観たいと思っていた。子供の頃の南の海や島への憧れを思い出させる映像による。案の定素晴らしい海と島の情景だった。こういう世界への憧れはオッさんになっても消えないな。
ストーリーは「もののけ姫」を想起させる冒険譚。ヒロインのモアナが自分の島や海、島民を守るため単身大海へ船出する。行く手に立ちはだかるのは海の神々。途中から彼女と行動を共にする半神半人のマウイのキャラクターが秀逸。見た目は大相撲の小錦だし、性格は歌舞伎の荒事のヒーローたちのように稚気にあふれている。大相撲も歌舞伎も神事の側面がある芸だ。そういう面からもマウイは日本人には親しみのわくヒーローだ。吹替をやっているのが尾上松也とはエンドロールまで知らなかったが、歌舞伎の荒事のヒーローめいたマウイには流石にドンピシャリ。身体中にあるタトゥーの件も面白い。このマウイにしても敵役の神々にしても日本人にはシックリくる。現代の西欧人と違って日本人は本作のヤシの実の海賊や大ガニも神と認識する。日本人にとって神々は必ずしも人間を護ってくれる存在ではない。荒ぶる神って感覚や言葉は現代の西欧にもあるのかな?モーゼの十戒めいたシーンもあるがモアナがマウイも含めた荒ぶる神々を鎮める旅に出る物語りだ。「もののけ姫」と違って死人も血も出ない。
モアナも可愛いしちょっと偏屈なおばあちゃんも良い。おばあちゃんの吹替の夏木マリさんはホントに素晴らしい。モアナが船を操るトレーニングをする件が良い。もう少しマニアックにやっても良かったかな。
主題歌はさほど印象的ではないが、主題歌だけひとり歩きしていた感のあるアナ雪よりも映画としては正道だろう。
海が嫌いでなければ大人も子供も楽しめます。
字幕版はまだ観ていないが、松也と夏木マリさんの吹替が良いので吹替版の方が良いのかな。字幕版も観ないとな。

Toshi