「属性で決めつけないことが大切」ズートピア 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
属性で決めつけないことが大切
主人公の成長と友情、キャラのバックボーン、刺激に富んだ飽きさせない展開、現代社会の問題をテーマとして取り入れている点など、秀逸なアニメ映画。
主人公ジュディが草食動物の小さなウサギながら、警察官になるのを夢見て警察学校で奮闘する。初めは他の大柄な肉食動物に身体能力で負けていたものの、努力を重ねて最終的には首席で卒業するまでになる。条件面で劣っていても、努力と工夫で挽回する彼女の姿に勇気づけられる。
ジュディは無事警察官になることができたものの、草食動物なため軽く見られ、違反駐車の切符を切る仕事しかさせてもらえない。しかし自ら窃盗犯を逮捕するために動いたり、事件の捜査をやりたいと署長に直談判したりして自分のやりたいことを勝ち取っていく。やりたい仕事を与えられないと腐るのではなく、主体的に仕事を得にいく姿勢が素晴らしい。
肉食動物の野生化事件が明るみに出ると、肉食動物の危険性に対して草食動物からの批判が殺到するようになる。草食動物達の多くは、肉食動物の野生化事件が起こる前から心の底では肉食動物達を良く思っていない。力のある肉食動物が優位を占める社会であることや、彼らに対する恐れといった悪感情が元々あった。それらが、この事件をきっかけに噴出し、皆で肉食動物を叩いても良いのだという空気が世間で醸成されていった。現代社会でも、ごく一部の人が問題を起こすことで、その属性(性別や人種等)全体のイメージが悪くなり批判されるのはよくある話だ。属性で決めつけないで、一人一人をよく見て判断するのが大事だということを、改めて考えさせられる。