劇場公開日 2015年8月22日

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「現実社会と報道と自己顕示欲が織りなすサクセスストーリー」ナイトクローラー showさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0現実社会と報道と自己顕示欲が織りなすサクセスストーリー

2015年9月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

映画好き以外あまり知名度のないタイプの映画ですが、
ファーストディで1100円ということもあって、平日の昼間の回なのに満員!

本作は、職を求めるうちに「パパラッチ」と呼ばれる報道カメラマンになった男が、マスコミの世界でのし上がっていく姿を描いたサクセスドラマ(!?)で、
2014年度の米国アカデミー賞脚本賞にノミネートされています。

主人公は、真面目で努力家で勤勉、そして、知識が豊富で頭がキレる。
頭でっかちでリアル社会との関わり方がわからない秀才オタクって感じです。

そのため、自己顕示欲が非常に強く、知識をひけらかしたり、相手より優位な立場に立ちたがる。
反面、犯罪に対しての意識が低く、特ダネのためなら何でもやらかす。
あちゃちゃなことも、顔色ひとつ変えずに平然とやりぬく。

それはどれも、現実社会と自分の行動が地続きになっていない様子。

そんなダメ人間なハズなのに、
巧妙な話術・交渉術のため、彼と関わる人は全員説得されちゃって、どんどん危ない道を進むことになっちゃいます。

ここで描かれるのは、
報道の恐怖と共に、アメリカの失業率の高さからくる、金のためならなんでもやらざるを得ない社会状況。

一部の所得者を満足させるための娯楽としての報道。
その報道の分だけ、低所得者に犯罪が降りかかる。
それを描いた映画を観て面白がっている観客。
ニンゲンに好奇心がある限り、この負の連鎖に終わりはないということです。

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