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大都会を徘徊するハイエナ男、その生態を冷徹に捉え続ける問題作
  最近はスマホが普及したせいか、ニュース番組では災害や事故の現場の様子をいち早くカメラに収めた"視聴者提供"の動画がしょっちゅう流される。マスコミが現場に行き着く早さには限界があるというわけだ。ところがアメリカには事件や事故の発生を用意周到に待ち構え、ライバルと競い合うようにして衝撃動画の撮影を行うカメラマン=報道パパラッチなる職業が存在するらしい。そんな目のつけどころからして好奇心をかき立てるサスペンス映画である。

  腹を空かせて獲物を漁るハイエナをイメージしたというジェイク・ギレンホールが、異様に痩せこけて目をギラつかせた風貌で登場。報道パパラッチ界に新規参入した主人公ルー・ブルームを、近作「複製された男」の鬱状態とは対照的な超ハイテンション演技で体現する。もはやハイエナどころか血に飢えたヴァンパイアではないかと思わせる不気味な外見に加え、ほとんどサイコパスなこの男は言動も極めて奇怪だ。何のコネもないテレビ業界に猛烈な自己アピールで売り込みをかけたかと思えば、ブラックバイトとはつゆ知らず求人に応募してきた貧しい若者をインターンとしてコキ使いまくる。さらには衝撃動画のギャラで警察無線を傍受する機械、トヨタ製ダッジ・チャレンジャーを購入するなど設備投資も積極果敢。大都会の闇を徘徊するハイエナ男の生態を、まるでベンチャービジネスの急成長ストーリーのように撮り上げたところにも本作のユニークな着眼点がある。

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  しかもロサンゼルスの夜景をクールに切り取った撮影監督ロバート・エルスウィットの映像がすばらしい。事件、事故を題材にしながらも、手ぶれの激しいP.O.V.で臨場感を打ち出す安易な手法をとらず、危うい倫理的なラインを踏み越えてぐんぐん過激化していく一匹の獣を冷徹な眼差しで観察していく。街灯に"濡れた"妖しい光を放ち、闇夜を疾走する真紅の車の艶めかしさ! そしてクライマックスが訪れたとき、観る者はすでに起こった事故ではなく、決定的な惨劇が勃発する瞬間をまざまざとリアルタイムで目撃する。物議を醸すであろう常識破りのエンディングも含め、これぞ必見の問題作。新人監督ダン・ギルロイの並外れた手腕に脱帽である。

(高橋諭治)


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