プリデスティネーションのレビュー・感想・評価
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種明かしの快感と混乱が同時に訪れる快作。
この映画、超弩級のパラドクスを前提にしたワンアイデアの解りやすさと、考えれば考えるほど解らなくなる複雑さが奇妙に同居している。
以降、何を書くにもネタバレは避けられないので、これから観るかもしれない向きにはご注意を。さて、この一文がすでに序盤の驚きをひとつダメにしてしまうのだけれど、本作はほとんどイーサン・ホークとサラ・スヌークのふたり芝居で成り立っている。しかも、どちらも相当な難役だ。前半のほとんどがバーでの会話劇で、回想シーンくらいしか動きがない。SF映画らしいガジェットもない。なのに、あれよあれよと引き込まれてしまう。
ぼくは知らずに観たのだけれど、原作はかの有名なハインラインだという。観終わって即、amazonでポチった。中短編集の一篇で30ページほどしかない。骨子はほぼ原作のままなのだけれど、この小説には映像化する上でかなり深刻な問題がある。バーでふたりが出会うシーンがそもそも撮れない。そこで導入されたのがフィズル・ボマーという爆弾魔の存在で、問題を解決するだけでなく、映画オリジナルのさらに皮肉なパラドクスに繋げている。これは巧い。
バーでの長い長いひと幕が終わった途端、めまぐるしいくらいに時空を移動しながら、次々と真実が明らかにされていく。それは、ほとんど究極といってもいいようなパラドクスで、主人公の生から死に連なる円環は時系列には起こり得ず、すでに閉じた状態で同時に出現しなければ成り立たない。この倒錯したウロボロス的なメインアイデアを面白がれるかどうかで評価は割れるかもしれない。そういう意味では、人を選ぶ作品だと思う。もちろん、ぼくは大好きだけど。
高品質なタイム・パラドックスSF
イーサン・ホーク主演のSFタイム・パラドックスです。
1970年のバーで働く主人公は実はある爆弾犯を追い、事件を未然に防ぐ時空警察官でした。
そのバーに一人の男が入店し、主人公に自分の人生を語り始める。
ここから幕を開け、入店してきた男の壮絶な人生が前半で描かれます。この男はある事情で性転換をした人間だったのです。かなり複雑な役どころですね。
後半は主人公が時空をまたいであるものを追っていくのですが、本作は予備知識無しの方が楽しめるので、ここら辺で内容に触れるのはやめておきます。タイム・パラドックス物は時間軸を交差させ、それを最後に繋ぎあわせるのが本当に大変そうです。
本作を観ていればなおさらそう思います。多少の矛盾が生じますが、それについて考える余地もなく、ストーリーが展開されていくので、気にならなくなります。
本作では、冒頭などで疑問に思っていたものが、ラストに近づくにつれ、細かな伏線と共に明らかになります。台詞の中にもかなり後半に繋がったりする重要な箇所もあるので、なかなか集中していないと置いて行かれます。そのためボケッと観るときには適していませんが、なかなかのハイクオリティな完成度にニンマリできます。しかし、複雑な構成の作品なので、一回観ただけでは理解に苦しむと思います。そのため二回、三回と繰り返し観たくなります。そうすると、分からなかったシーンも分かるようになってくるので、そのような鑑賞の仕方がオススメです。
うーん…時間軸を考えてしまう
あーだこーだ言ってる時点で、映画を楽しんだということだと思います。
ただ、彼女がやっていた、
なんだか近未来的で非現実的な訓練?
あの設定は必要だったんですかね?
シリアス感が無くなった気がします。
それとも、私が気付いていない何かがあるんですかね?
あっと驚く結末が・・
シックスセンスを見たとき以来の驚き、ショックがあっていまだに記憶に残る作品です。印象とは違う筋書きで全く予想できない(中盤を過ぎたころには予想はついたけど)ショックを味わいたいのであればお勧めです。
スピエリッグ兄弟
自分で自分を愛して、自分とセックスして、自分で自分を産めば、孤独なんか生まれないという話。ただ、ウロボロスの、自分の尾っぽを喉の奥まで飲み込んでグェっと吐き出しそうになる感じ、気持ち悪い感じがないのが残念。時間を超えたり、性を超えたり、自分を超えたりすることの代償としてのグロテスクさ。マトリックスの向こう側に行っちゃったウォシャウスキー兄弟の兄の美少年が美少女になるとかじゃない、おじさんが凄いリスクを侵しておばさんになる感じが足りていない。
15年くらい前に出てれば大ヒットしてたかも!?
大好物のタイムトラベルもの。すでに他の傑作SF作品が数々出てるので、その要素が散りばめられてはいるが目新しさがないのがもったいない。
でもすっごく面白く観れました!
78点
SFのようでサスペンスのようで
どんでん返しと思ってしまうかもしれないが、よく見るとセルフや行動で先が読むことができた。よくできていると思う。二回目見ると違った面白さがあるだろう。
そして、よく見て考えれば考えるほどに混乱してしまう。矛盾のようで…矛盾ではない?
どんでん返しではない。
波乱万丈で数奇な人生を告白する一人の客とある使命を受けたバーテンダーの会話劇で進む、かなり変わったSF作品。
気を抜くと混乱しそうですが、描写や台詞がわりと丁寧に作られていて見応え十分。
セーラ・スヌークの絶妙な表情はかなり引き込まれましたね。
どうしても矛盾が生まれるし、意外と先は読めてしまいますが、アイデアの上手さと雰囲気のある時代背景、深みある演技力でかなり面白いSFでした。
何回も観たくなる良作。
驚愕のオチではない
セリフをきちんと追っていれば、途中で先が読めるかと…
驚愕のオチではないけど、この作品はお気に入りの1本になりました。
静かに語りから引き込まれる展開、謎が繋がっていく感じは、かなり楽しめました。
セーラ・スヌークとイーサン・ホークの演技がすべて!さすがです。
最後にちゃんとわかりやすく種明かししてくれてるのも親切ですね。(笑)
著者の発想
一言でいうと、作者のペースに飲まされる映画
タイトルの横にかいてあるキャッチフレーズとは趣旨が違うように感じて、思った方向とは全く別のストーリになっていった
タイムパラドックスを描いた作品の中でも、奇抜な発想で素晴らしかった
ジョンがジョンとの間にジョンを産みそのジョンがジョンを産ませ、ジョンを殺すというオチは息を飲んだ
驚愕のオチ!
これぞタイムパラドックス!という映画。でもこの映画のすごいとこは主人公的な人(イーサンホーク)、パブに現れる性転換で男になった悲惨な運命の元女性、その女性が恋に落ちる男、赤ちゃんを奪う男、奪われた赤ちゃん、自分を救う男、はたまた追い続けてた爆弾魔まで全て自分だった、というオチ。全員かーい!!んなアホな!!!『ドラえもんだらけ』みたい。
とりあえずもう一回観たくなります。
グチャグチャに絡まった一本の線
見応えあった。難解かと思ったら実は単純。一つの単純な物語を色々な角度から見てたという、見せ方で頭をグチャグチャにかき回されたなと見終わってまず思った。
冒頭過去に飛んでバーで二人が会話をし、男が過去を話だす。何でこんな意味のない事を長く話すのだろう?とまず疑問を持ち、いや意味の無い会話をこんな長く話すわけないぞ。という事は?
という感じで浅はかな疑問と推理をするわけなのだけど、実は一本の線だから、ドンドン当たっていってしまい、驚きがなかった。
ただ何度も言うように見せ方と二人の演技には引きつけられた。
かなり面白い
イーサン・ホークが主演するSFサスペンスかと、面白そうなので他の映画とともにレンタルしましたが、観ていて最高のストーリーにぐいぐい引き込まれました。
SFチックが多めなものだと観る前まで思っていましたが、レトロな雰囲気が多めで、僕はあまり好きではない感じのものでしたが、この作品のストーリー展開に良い意味で裏切られました。
最後はどように終わるか、この作品がつまらなくならないようにと思いながら観ていましたが、最高の終わり方でした。点と線が一気に一本につながるところは、観てて驚きました。
終わったあと、すぐに2回目を観たくなる
久しぶりに、超大作でも単館系話題作でもないおもしろい映画に出会った。
途中でハッと展開に気づいてからはなんとなく読めるのだけど、それでもおもしろい。
ラストのカットがよかったなー。
自分の思考もぐるぐると巻き込まれていく感じがいい。
辿り着くのは…。
以前、劇場で配られた冊子のコラムに今作のことが書かれていた。
うわ、またE・ホークかよ!と俄然観たくなった一本。それが今回
地元で観られるという悦び♪さらに鑑賞後に湧きあがるこの切なさ。
ロバート・A・ハインラインの短編『輪廻の蛇』を映画化したもの
らしいが、原作がどのくらいよく出来ているのか確かめたくなった
人は多いんじゃないだろうか。所謂SFサスペンスにはなるのだが、
前半~やたら静かな喋くり劇場のように延々酒場での告白話が続く。
冒頭でドカンと一発アクション劇があるんだけど、それはまだ謎。
これは一体どうゆう話なの?と思わせておいて、中盤~カラクリが
どんどん紐解かれていく。これがまたよく出来ていて惹き込まれる。
登場人物は異様に少なくて、バーテンダー、青年(性転換前は女性)、
そして鍵となる名前ロバートソン。連続爆弾魔を追って明かされる
衝撃の時空警察の話。奇妙な恋愛→出産→誘拐→性転換の話。など、
はじめは何のこっちゃ?と思わされる告白が、あとでスッと一本の
軸で繋がる。ラストの衝撃には度肝を抜かれるが、なるほどそうか、
と自分の記憶を点と線で思い起こしながら繋げていくと、前半での
ダラダラ~っとした話の中に幾つもヒントがあったことに気がつく。
いや~、やられましたな、これは。と思わず膝を叩きたくなる感じ。
予備知識ゼロで観た方が(ネタバレできないし)衝撃度満載で面白い。
主演のイーサンもさすがだが、何といっても新生S・スヌークの凄さ。
難役を、愛らしくもカッコ良くも切なくも激しくも演じ切っている。
この一本で彼女のファンになってしまう男性陣も女性陣もいそうな
この感じ^^;が堪らないな。まぁいいから観てみて♪とお薦めの一本。
(卵が先か鶏が先か、自分の尾を食べる蛇、怖くて激しくて切ない…)
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