劇場公開日 2016年5月14日

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「親思う心に勝る親心。切なすぎる設定の中、最期に知る真実の愛。」世界から猫が消えたなら 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5親思う心に勝る親心。切なすぎる設定の中、最期に知る真実の愛。

2016年5月27日
PCから投稿

泣ける

悲しい

知的

【賛否両論チェック】
賛:大切な“もの”を消すことで、大切な“周りの人々との記憶”も消えてしまうという描写を通して、人と人との絆の中で生まれる真実の愛に泣かされる。ものが消える際の演出も幻想的。
否:設定はやや強引か。結構小説チックな会話のシーンも多いので、やや好き嫌いは分かれそう。

 大切なものを1つ消すことで、1日の命を得る。でもそれは同時に、その“もの”を通して築き上げてきた大切な人達との大切な記憶をも、消し去ることになってしまうということに、改めて深く考えさせられます。大事な人だったはずの人々が、主人公のことを忘れていってしまう描写は、とても切なさが残ります。“悪魔”が言う通り、勿論自分の命は1番大事なものではある中で、主人公が思い悩む姿も、また印象的です。
 そんな大切な記憶の中でも、最も大きなウエイトを占めるのが、やはり亡き母との思い出です。自身のことは二の次で、ずっと主人公に愛情を注いでくれた母。そんな母の本当の想いが明かされる時、観ている側も涙が止まりません(笑)。それを知った主人公がどんな決断を下すのかにも、要注目です。
 やや小説チックなやりとりが少し気にはなりますが、電話や映画が消えていくCGは、非常に幻想的でもあります。猫好きの方は勿論、そうでない方も、沢山泣ける感動作に仕上がっていますので、是非劇場でご覧下さい。

映画コーディネーター・門倉カド