劇場公開日 2016年5月14日

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「一日分の命以上に大切なもの」世界から猫が消えたなら スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0一日分の命以上に大切なもの

2016年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

拙い予告編のせいで無駄にハードルが上がった分(試写でボロ泣きする人続出的な予告編は逆効果ですよ)、手放しで感動したとは言い難いところもあるのですが、まあ実際心に響くシーンは多々ありましたから、終わってみれば見て良かったなと思えた作品ではありましたかね。
生きる上で一番大切なものは何なのかと、思わず考えさせられてしまいましたよ。
実際のところ命やお金以上に大切なものなんて無いのではないかと、どこか冷めた気持ちも持ちつつ生きてきましたが・・・あるね(手のひら返し早!)

少々映画的には時系列が分かり難いと言うか、唐突過ぎて感情移入できないシーンもありましたから(アルゼンチンのシーンとか特に)、完成度と言う意味では微妙なところもありましたが、原作がいいのかな?(読んでないんで詳しくは分かりません)題材がホント素晴らしかったです!
大切なものを失くすことによって、周囲の人間が自分にどう言う想いを抱いていたのか、それらが分かる回想シーンにとにかくグッと来ました。

電話、映画、時計、猫等々、明日死ぬ命を一日延ばせるとしたら、実際は命乞いして余裕で消してしまうかもしれませんが、それらのアイテムはただアイテムなだけじゃなく、人との繋がり、大切な思い出でもあるとしたら、どうなんだろう・・・やっぱり消せないなぁ。
人との繋がり、大切な思い出は、生きた証とも言えますから、それが無くなったら、自分が生きてきた意義が見出せなくなるので・・・。
でも、本人の方ではなく、デビル佐藤健の演技がまた絶妙でしたから、とりあえず何個かは消してしまいそうですけどね。

しかしこの映画は主役の佐藤健の演技も然ることながら、脇役陣の味のある演技・存在感がとにかく素晴らしかったなぁ。
宮崎あおい(生きてやるのシーンだけは微妙でしたけど)、濱田岳、原田美枝子、奥田瑛二、この4人の名演技に助けられた映画でもありましたね(あと猫も)
映画ファンとしては、映画友との何気ない日々、そして涙にグッと来た~。
それとあんなに優しいお母さんだったら、マザコンになっちゃうかも(笑)
対照的な優しさを見せる無骨な父も味があって良かった~。
本当に絶妙過ぎるキャスティングでしたね、願わくばもっと宮崎あおいが見たかったのと、トムさん謎過ぎ!

スペランカー