ニンフォマニアック Vol.1のレビュー・感想・評価
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題名、テーマ、監督の割に衝撃度が期待値を越えなかった作品。
良かった。
…が、題名、テーマ、監督から抱く事前の期待は越えず。
不遜な言い方をすれば「悪くはなかった」。
自らを「色情狂」として自身の経験を赤裸々に語るジョー。
彼女の話を自身の知識と関連付け寛容に許容するセリグマン。
彼等の掛け合いは微妙に咬み合っておらず何処か間抜け。
自身の経験を第三者の嘲笑の対象として語るジョー。
それに対して「それは釣りのセオリーに沿っている!」と納得顔のセリグマン。
御丁寧に釣りの映像、しかも教育テレビで流れるような異質な映像が差し込まれることで、より間抜けになっています。
自身の深刻な悩みを自嘲気味に語るジョーがセリグマンに意図した受け止め方をしてもらず、何処か憮然とした顔になっている点は面白い構図でした。
また第3章の「ミセスH」に登場するユマ・サーマンが最高でした。
本作品は章立て構造となっておりセリグマンの部屋にある物や会話の流れで話が進んでいくのですが。
第3章はジョーが日々7,8人との交流を回していく中で歯車が狂った話。
要は相手の奥様が乗り込んできてしまう話なのですが。
ここでの相手の奥様役のユマ・サーマンが最高。
冒頭の、子供をジョーの部屋の階まで先に行かせる所。
「ごめんなさい。部屋までくるつもりは無かったんだけど。でも子供たちに最後の別れをさせてたくて!」でグッと掴まれ。
子供と共に乗り込んだ後は苦笑の連続。
子供をダシに元旦那とジョーを責める手練手管。
「公共交通機関にも慣れないとね。明日から財政状況が変わるんだから!」
「ベッドを見せて!ほら、アナタ達いらっしゃい。ここよ!このベッド!アナタ達、このベッドをよく覚えておきなさい!」
金髪美人のユマ・サーマンが有無を言わさず捲し立て、目を剥き、その他登場人物が全員引いている構図も良かったです。
鬼気迫る演技は映画「ブルージャスミン」のケイト・ブランシェット級でした。
惜しむらくはジョーが語る話のインパクト。
Vol.1と2で分けたが故に本作 Vol.1のインパクトは期待外れ。
幼少期の性の目覚めから始まるものの既視感があるネタばかり。
…ぶら下がり棒の間接的な魅せ方は嫌いじゃなかったですが。
全体的に然程刺激的ではない話を長尺で見せられる退屈さはありました。
Vol.1のエンドロールでVol.2の予告映像が流れるのですが、おそらくVol.1と2を併せてキュッと絞った方が良い作品になったのではないかと思っています。
題名、テーマ、監督の割に衝撃度が期待値を越えなかった本作。
普段慣れ親しんでいる文化や環境に応じて本作への衝撃度は変わってくるかもしれません。
ジョーが自身を「悪い人間だ」とする根底にキリスト教文化があると思われるので当該文化圏の人の方が本作を楽しめるのかも。
兎にも角にも鬼才 ラース・フォン・トリアー監督作品。
良くも悪くも観ておいて損は無いと思います。
オススメです。
トリアーは百年早い
鬱でも変態でもどっちでもよいのだが、気持ち悪い「メランコリア」から待望(?)の新作。
うわさは聞いていたが、エロ映画の超大作。今回はその前編。
さて、本作、変態で名をはせ、女性蔑視だのなんだの、言われ、それじゃお望み通りのものを作ってやる、とか言ったか言わないかは知らないが、
極めて、発想の陳腐なエロ映画、というのがVOL.1の鑑賞後の第一印象である。
VOL.1の幼少期から青春時代の主人公ジョーのエピソードは既視感満載。
トリアーは変態ではなくって、まじめだから鬱になったのか。
と思わせる。
いつの間にかエロ映画の定番曲になってしまった、ドミートリイ・ショスタコーヴィチのジャズ組曲第2番よりワルツ第2番、セックスの最高の秘訣は愛とか、性に目覚めたのは、綱登りだとか直球を投げたり、魚釣りとか、数学とか、縦列駐車とかは、ジョークではなくって、トリアー、お前、マジでそう思っているだろ?
「真面目かっ?」
と逆にトリアーに、いままで変態扱いしてごめんなさい、とこっちがトリアーに申し訳が立たなくなってしまっているのに気付く始末。
むしろ、その中で逆に「愛を語る」というのはまあ、VOL.2への展開だったりするのだろうが、それでも、その展開は陳腐なんだよなあ。
VOL.1のラストなんて、あれだよ、
セックスが気持ちよくなくなった!!、VOL.2に続く!
お前、園子温かよ。
しかし、こういうのは、石井隆のほうが遥かに先を言っている。園は10年早いが、トリアーは百年早い。
なぜにシャルロット・ゲンズブール、というがっかり感はVol.2への猛烈なマイナス要素。まあ、観るけど。
主人公の若いころを演じるステイシー・マーティンは素晴らしい。全然似てないけど。
今回はユーモアもあり、でも相変わらず欝。
前作のメランコリアでついに地球を破壊してしまった欝王フォン・トリアー監督。次回作はいったいどうなってしまうのかと期待に胸を躍らせていましたが、今回もすばらしい出来でした。もはやトリアー監督の定番のシャルロット・ゲンズブールを見るだけで、ああ、また嫌な事が起こるんだろうなと不安になってきます。
今回は前後編で、以前のドグマはほとんど見られず、構成や見せ方もずいぶん親切な感じです。しかも洗練されたブラックユーモアたっぷりで、何度も笑わせていただきました。俳優陣も大変豪華。あ、トランスフォーマーの人だ、とか、スパイダーマンの悪役だとか、キルビルだとかトゥルーロマンスだとか、この俳優名前知らないけどいろんな映画で見たことある、という感じで楽しめました。セックスシーンは合成らしいんですが、どうやって合成しているのか分からないくらい自然です。
ストーリー前編は主人公ジョーの生い立ちから若かりし頃の話。全体にユーモアのほうが勝っている感じです。キリスト教文化圏の人には、赤裸々な性の告白そのものにショックを受けるのかもしれませんが、日本の場合、性についてのぶっちゃけ話は飲み会だとか雑誌の中でされていることなので、個人的にはそこまでのインパクトは感じることがなく、比較的軽いです。後編で欝展開への大きな前振りくらいに解釈しました。
というわけで前編、すべてが洗練されていて十分に楽しめました。傑作というよりは秀作、という感じです。
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