劇場公開日 2015年1月23日

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「ティム・バートンの着眼」ビッグ・アイズ xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ティム・バートンの着眼

2015年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

単純

幸せ

画像が終わりかけていたとき、僕は腑に落ちない感じが残った。
エイミー・アダムスとフルストフ・ワルツという当代きっての役者が挑んだ映画にしてはなにか割り切れない思いがあったのだ。
それは「ビッグ・アイズ」という大きな目をしたキャラクターがなぜ生まれたのか、という視点に、つまり、アートとしてどのようなことから、誕生したのかという点にほとんど触れていないことによっていると思う。そう、現象面だけを表しているような感じだったのだ。
でも、最後のタイトルバックが出ているときの音楽に目を見開かれた。いま、注目されている女性シンガーソングライター、ラナデルレイの歌が流れたときのことである。後で知るのだが「ビッグ・アイズ」と「アイ・フライ」という2曲の歌。
彼女の歌はアメリカの60年代、70年代の音と歌詞を現代風にアレンジしている。ちょっと聴いたら、耳に残る(60年、70年代の音楽を知らなくても)アメリカの全盛時のような、でもなにか満足できない時代を捉えている。それが現代の若者たちの耳にも共感を呼んでいるという。かくいう僕もその虚構の世界に片足はまっているのだが。
ティム・バートンは言っている「アートとはインパクトである」と。
ここからはかなり強引な僕の解釈だが、以下のような流れだったのではないか?
①ラナデルレイの歌を聴いた(鮮烈な印象を残す)
②この歌を生かした題材を探す(ビッグ・アイズ事件を知る)
③そのストーリーを知るそして作る。
ティム・バートンの作風はシュールというか、現実離れしたものが多いのが、この作品はそんなイメージはない。
アメリカにこんなことがあったのだという出来事をある意味淡々と描いたといえるだろう。ランデルレイの音楽に乗せることが大きな意味があったのだと思う。

xtc4241