紙の月のレビュー・感想・評価
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えっ急に!?
面白かったけど、気になるとこも幾つか。序盤に、銀行のお金1万円を思わず使ってしまいその後すぐ返すシーンのあとに「えっ急に!?」と突っ込みたくなるシーンがあるけど、今まで地味に真面目に生きてきた女性が罪悪感の残る行為をしたことである意味吹っ切れた、ということなのかなと思えばそこまで突っ込むことではないのかな?でももうちょっと旦那とのセックスレスの悩みなんかを序盤で描いた方が説得力が出たんじゃないかと思ったりもした。
子供時代と現代の主人公が重なって讃美歌が流れる演出は吉田監督っぽくていいなと思ったし、子供の頃からその気質は持ってました的な説得力を出したいのはわかるけど、それよりは前述した夫婦間の悩みや、"犯罪モノ映画"として横領の手口や緊張感をもっと掘り下げて欲しかった。
まあでも全体としてはすごく面白かったし、超高級ホテルに宿泊してるシーンはすげぇ楽しそうだなーとかおもったり、ボケた婆さんとの「ニセモノなのに。」「知ってるよ」のやりとりはゾクッとしたし、細かい演出もいちいち上手いなと思いました。
一線を越えること
小林聡美の目が怖かった。何もかも見透かすようであるのだが、かなり長い間見過ごしていたので、勝手にびびっているだけで実はそうでもなかったのかもしれない。
ボケたお婆さんをだました時に「偽物なのに」「分かってるわよ」の会話はゾッとした。
自宅が証書の偽造工場と化して、20年前の機材で頑張って作っているところは面白かった。あそこはもっと掘り下げて欲しかった。プリントごっこをあんな風に悪用しているのもすごく面白かった。
金の使い方が物欲や享楽的な方向で、人間性にガッカリするところはあった。もっと愉快な夢のある使い道を示して欲しいのだが、そもそもそういうタイプの人は銀行に勤めないし、横領もしないのかもしれない。安っぽくて、応援しづらい。享楽的に物欲を満たしたことがないから分からない。ラブホテルがだんだん高そうなラブホになって、帝国ホテルみたいなところにまで至るのが面白かった。
全編通じてハラハラし通しでとても面白かった。浮気や横領の一線を越える場面が特に、いちいち、声を漏らしそうになるくらいだった。我々の日常に、超えてはならないけど、いつでも簡単に超えることができる一線は存在していることを示す、恐ろしい映画だった。
馬鹿な女
此処ではない何処かに行きたい。
私ではない誰かになりたい。
そんな妄想は十八才くらいで済ませておいて欲しいですね。
それをアラフォー女が実行するくだらなさ。ウブもいいとこですよ。
動機も、不倫相手も、横領した金の使い方も、その結末も、しょぼい。
擁護も出来なきゃ羨ましくもない罰ゲームみたいな話。
映画前半は、宮沢りえさんが、こんな馬鹿をしでかす人には到底見えず、ハテナマークが浮かんでいたのですが、後半は、ちゃんと馬鹿な人に見えてきます。
この馬鹿、止めてもしょうがない、どこまで転がるのか見ておきたい、そんな気持ちにさせてくれます。
転がるのを見たいという嗜虐、あるいは自分も転がっていきたいという破滅願望を充たしてくれる映画だと思います。
こつこつ真面目に生きてきたお局が、宮沢りえに感化され、私の生き方はこれで良かったのかしらと疑問を持つところで映画は終わります。作品の意図は判るのですが、「この馬鹿が」と突き放すドライな終わり方の方が、私の好みです。
紙一重の向こう側
万人受けを狙わず、紙一重の向こう側を知ってる人にしか伝わらない爽快感に好感が持てた。これが刑に服する主人公で終わっていたならよくある“ありがちな”作品で終わっていただろう。最近流行りの不倫物を期待して観に行くのも間違っている。主人公は誰にも恋などしていない。彼は紙一重の向こう側を充足させる為のツールに過ぎない。全ては自分へのご褒美と称してデザートを食べたりエステに行ったりする“ありがちな”女性の不可解な自己満足の延長なのである。これと言って夫に大きな過失もない。ただノーブランドのペア時計をプレゼントした後に、カルティエの時計をプレゼントしてくるようないい人だけど空気の読めない、退屈な夫というのもリアルでいい。彼女の異変に気付いていながら好きにさせるのが愛情だと勘違いしている夫。だからこそ主人公のストレス発散は長期化する。「後味が悪い」「すっきりしない」「描写不足」との評もあるかもしれないが、これは紙一重の向こう側にいるもしくはいた、または憧れを抱く不健全女性という少数派の為の爽快映画という見方も出来るのだ。
NHKのテレビ版と比べてしまった
原田知世で今年放送されたものを観たので、比べてしまった。
それとは関係なく、普通の主婦から変化していく様子、もっとうまくできなかったかな。ピンクのパンツルックは宮沢りえに似合ってました?コートを黒から白に変えたってね、もっと何とかならなかったのかな。
池松壮亮と、あの程度の会話しかしてないのに、みつめあってあの関係になるって、不自然。テレビでは、もっと子どもがいないとか、夫との関係に虚無感や淋しさが出ていました。同級生との関係からも気持ちがわかりました。
学生時代の外国への寄付の気持ちとのつながりは、わかりづらいと思う。カットしてもよかったような。
銀行にバレて、窓割って無事に下に降りられないよー無理ありすぎ。
テレビでは、週刊誌に載り、最後は夫がテレビ取材に、自分が払いますと妻への愛もかんじられる涙してしまうシーンがあった。
宮沢りえは、銀行が隠ぺいしたのか、海外逃亡?
ラストは不可解。
でも、飽きずに観られます(笑)
犯罪に手を染めてしまうまでの細かさといったら!
一人の銀行員がどうして横領犯となってしまったのか?
その過程を細かく細かく描いていく映画だと感じました。
道を踏み外して、どんどん常軌を逸していって取り返しのつかないところまで・・・。
すべての犯罪が辿るところなのでしょうが、それが美しい映像で紡がれていて、湿度がないのがこの映画の特徴でしょうか。
little moaさんの劇中歌もなんとも現実離れした、虚構のような犯罪映画の中でさらに浮世離れした印象を深めてくれます。
どうしようもない状況になって、身も蓋もないような振る舞いはコメディですらあります。
しかしそれとてもどことなくリアルでありながら嘘のよう。
なんということのないシーンをスローモーションでここまで美しく見せられてしまって、ちょっと魔法にかけられたような気持になりました。
個人的には宮沢りえさんが、普通にきれいなおばさんなのが悪意というかなんというか。
繰り返されるラブシーンも1mmもエロくないのですね。
ラブホテルで、相当にえぐいシーンのはずなんですが、少なくとも私はこれっぽっちも恥ずかしいとか逆に興奮することもないように思われました。
男女差もあるのやもしれませんが、意図してのことなのかせざることなのか。
結局主人公は本来行かなくてはいけないところには行かない、という選択をするのですが・・・。
後味が悪い、というよりキリスト教的なものに対する反発、神に対する反抗を思わせるエンディングだと思いました。
ヴェルヴェットアンダーグラウンドの曲は不似合やねえ。
面白かったけどオススメは出来ない
原作は読んでいないので、あくまで映画としての評価です。
全体的なストーリーの流れはとてもテンポ良く、観やすいです。ただ最後まで後味が悪い映画なので好みは分かれると思います。
この作品では主人公の宮沢りえの評価が高いようですが、私は逆に他の女優さんで観たかったですね。と言うのも、スクリーンで観る彼女に魅力的な面は一切無く(顔のシワ、髪型、服装、雰囲気、どれをとっても自分より遥かに歳の離れた大学生と恋に落ちるにはムリがある)2人が惹かれ合う描写も全く描かれていないので、違和感がありました。
ラストに向けて横領を繰り返していく辺りはなかなか見応えがありますが、ラストシーンはちょっと残念だったかな。
全キャストの中で、一番自然に役に溶け込んでいたのが大島優子だったのもまた残念!
いい映画 宮沢りえ代表作
凄い映画をみました。いろいろと考えてしまった。
映像的に最後のシーンはしばらく忘れられません。逃げ切れるわけじゃないのは分かっているんだけど、彼女にはどこまでも逃げてほしいと思いました。宮沢りえのあの走って逃げるシーン、あれ凄いわ。
物欲、性欲、様々な欲のたががどんどん外れて行くのは、彼女の融通のきかない純真な心と自由への渇望なのだろうと理解する。
彼女がアジアの片隅でどこまでも逃げ切って欲しい。逃げてる間は彼女は幸せのはずだと思う。
期待に応えて、面白かったです!!
「期待を裏切られた」系の意見が多くてびっくりしました。
「期待どおり面白かった!」という意見も知ってもらいたくて
投稿します!
必要なものがすべて入っていて無駄なものは入ってない。
そして見せ方や音楽の使い方がうまい。
なので観る側に考える余裕を与えつつもテンポがよいという、
吉田大八作品の良さが、今回も出ています!
そうなんですよ〜!観る側が色々考えて楽しめるのが
吉田大八作品なんですよ〜!
どうも、キャラとか原作とはちょっと違うらしいんですけど、
でも、自分には、あらすじを読む限り、原作より映画のキャラ陣の
ほうがおさまりがよいかなぁと思います。
0.5点減点は、「桐島」や「腑抜けども」に比べると、
フレッシュ感がこれらに比べると弱くて、
結果、何度も観たい感も若干劣るから。
でも、エンディングが素敵で、ちょっとその劣ってる部分を
持ち直してる、と自分は思います。
大事な事だから2度いうけどw素敵なエンディングですよ!
期待していただけに
勝手な思いですが期待が大きかっただけに見ていて何だかなと、
旦那に女として見られてないと感じていた主婦が若い子に女を思い出されて遊ばれが、自分を解放出来た作品
元々世話付きで私がついていないとと思ってしまうところや捨てられないという思い、自分が変われるという思いが重なり横領に
映像の表現としてはもっとドロドロしたものにしてほしかった、もしくは逆に思いっきりさっぱりとしてもしかった。
エンディングも心に響かなかった。
原作とは全くの別物
まず、率直な感想として面白くない。
原作既読で鑑賞したが、改変がヒドい。オリジナルキャラが2人、それぞれに重要な役割を担っている。よく角田光代はOKしたもんだなと心配するくらい原作で伝わったものが違う角度で届いてくる。吉田大八は原作を読んでこう解釈したのかと、ある意味、新鮮な気持ちになった。
映画としては何かが起きそうで起きないギリギリの場面を演出している。ただ、原作読んでない人は設定から話しの流れ、登場人物の心情までさっぱりわからないと思う。多分、レビューも宮沢りえが良かったという意見が大多数になるんじゃないかな。
以下はあくまで自分なりに原作を解釈した意見なので参考程度に読んでもらいたい。
そもそも原作は角田光代お得意の何かほんの少しだけ満ち足りない女性を題材にした物語。その何か満ち足りないものを手に入れようとしたけど、結局、それじゃなかったというのが大筋で、そこのアイテムとしてお金や巨額横領事件や恋愛が絡んでくる。しかし、映画では何かほんの少しだけ満ち足りない女性の描写が非常に弱く、横領する動機がはっきりとわからない。しかも横領して行なう行為そのものが目的になっている。なので、劇中に登場する宮沢りえはただの倫理観が逸脱した馬鹿に写ってしまっている。あとは大島優子や小林聡美など対比で登場する2人も弱い。だって、宮沢りえがただの馬鹿にしか感じないし、感情移入や共感が出来ないから。後、オシャレな音楽とか妙に鼻につくから止めて欲しい。もっと自然にオシャレして欲しいね。
と、まあ、こんな感じでため息の連続間違いなしの本作。吉田大八は桐島の一発屋なんて呼ばれないよう頑張ってもらいたい。
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