劇場公開日 2014年6月7日

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ポンペイ : 映画評論・批評

2014年6月3日更新

2014年6月7日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

未曾有の大災害をロマンスで彩るポンペイ版「タイタニック」

バイオハザード」シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督が、6年もの歳月を費やして古代ポンペイの街をリアルに再現。人類史に名を残す未曾有の大災害を大胆に映像化してみせた渾身のディザスター映画。大迫力のVFXでポンペイの街が火砕流に呑み込まれていくさまは圧巻の一言。迫力のサウンドと3Dで体感すべき作品だ。

「タイタニック」を思わせる構成で、前半は主人公マイロの復讐と有力者の娘との身分違いの恋や剣闘士同士の友情を中心に描き、後半は大自然の猛威をこれでもかと見せつける。作品の中心はあくまでベスビオ火山の大噴火。物語は噴火を描くために用意されたと言っても過言ではない。

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マイロはローマ軍が滅ぼしたケルト騎馬民族の最後の生き残り。奴隷として育てられ、誰よりも強い剣闘士となり復讐を目的に生きてきた。ポンペイのコロシアムに買われ、道中、美女カッシアと運命的な出逢いを果たす。マイロの復讐の相手は恋敵でもあるのだった。コロシアムでの戦闘シーンは大噴火とともに今作の見どころ。それもそのはず、スタント・コーディネーターは「300 スリーハンドレッド」のジャン・フレネットだ。

そして街を見下ろすようにそびえ立つベスビオ火山から巨大な炎と黒煙が噴き上がり、すべてを呑み込む。太陽の光は遮られ、地面が崩壊し、港には津波が押し寄せ、空からは灼熱の溶岩が降り注ぐ。地獄絵図の描写に、得意のVFXが冴え渡る。最も恐怖を煽るのは、黒煙が太陽を遮るカット。溶岩や火砕流などのわかりやすい脅威よりも、光を遮断する演出は生きる希望を断たれるような絶望を見る者に打ち込む。

ディザスター映画好きはもちろん、「300 スリーハンドレッド」や「グラディエーター」のような古代人の男祭り好きにも楽しめる。シンプルな筋立てで迫力は最大級。ポップコーン片手に見るにはもってこいの一品だ。

杉本穂高

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