劇場公開日 2014年2月28日

  • 予告編を見る

「正気と狂気の境界線を綱渡りし続けるウディを演じるブルース・ダーンが良かった。」ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5正気と狂気の境界線を綱渡りし続けるウディを演じるブルース・ダーンが良かった。

2014年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

良かった。

登場人物が地味。
映像もモノクロームで地味。
ネブラスカ州への道程は何もなく広大な大地が広がるのみ、これまた地味。
この並びだけでは何も面白みがない映像が淡々と流れるように思えますが。
作中ではユーモアと家族の温かさ、そして田舎の澱みが描かれており決して退屈しません。

特筆すべきは父ウディ。
宵宵のウディは突飛な行動を繰り返しては周りを困惑させ続けます。
耄けてしまったのか。
いや、そうとも言い切れない所に本作の良さがあると思います。
耄けているようだけど、場面場面で「単に家族を困らせたいのでは」「故郷の面々の鼻を明かしたいのでは」というウディの悪意/悪戯心を感じます。
正気と狂気の境界線を綱渡りし続けるウディ。
本当はどちらなのかを分からせない所が本作の大きな魅力の一つだと思います。
その点で演じるブルース・ダーンの演技は素晴らしかったと思います。

ウディを取り巻く家族の面々も良い。
父と共に旅をする次男のディビッドの優しさ。
長男のロスと次男のディビッドのタッグの良さ。
そして母のケイト。
この母が話が進むについて印象が変わる点も良かった。
この父には、この母が必要だったということが徐々に確認する過程。
本作の楽しみ方の一つだと思います。

モノクローム映像も本作の魅力の一つ。
白黒映像が持つ懐かしさ、距離感が田舎を旅する彼等の姿とマッチします。
また色の濃淡が工夫されているため白黒なのに色鮮やか。
影の使い方やヒト/モノの配置も好きな作品でした。

地味だが味のある本作。
何もないネブラスカに実体のないモノを求めていくウディが、そして周りの人間が、旅を通して再確認するものは何か。
その過程、結論を見るため劇場に足を運ぶ価値はあると思います。

オススメです。

コメントする
Opportunity Cost