劇場公開日 2014年3月7日

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「人の心から差別と偏見の意識は無くならないのだろうか?」それでも夜は明ける Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5人の心から差別と偏見の意識は無くならないのだろうか?

2014年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

大好きだった「大統領の執事」が公開されて大ヒットにならなかったのが残念だったけれど、こちらの「それでも夜は明ける」はやはりオスカー受賞と言う受賞効果も有ってか、映画館では、久し振りの賑わいの中で、本作が観られた事は自分には嬉しかった。

私は自分でも本当にバカだと思うのだけれども、自分が観て気に入った作品がヒットすると自分の事のように嬉しい、そしてガラガラの空席の多いシネコンで観る映画は何故か気に入らない作品であっても、お客の入りが少ないと淋しく思うのだ。
自分に全く、損得関係無しの事なのだが、やはりどの映画でも有る程度観客で埋め尽くされた映画を観るのは、観客の一人として嬉しいのだが、これは可笑しい事だろうか?

さて本題に話を戻すとこの作品も実話を基に描かれた作品と言う事では、近作「大統領の執事」に続いて大一級の社会派作品だ。
米国に於ける人種差別の歴史を差別されていた側の人種であるアフリカ系の監督が描いた作品と言う事では今迄にない社会的な大きな意義を持ち、物凄く力強いこの作品が出来たと事はハリウッド界にとっても素晴らしい新たな1ページと言える。
そしてこの映画の伝える内容も大切な情報だと思うし、立派な作品だ。だが立派な作品だけれども、私は好きになれない作品だ。
多分、この作品の監督ステーヴ・マックィーンは英国人だから、より冷静にシビアの米国内に於いての差別の歴史を描けている為なのだろうかとも考えた。
彼の前作「シェーム」では余りにも特殊な人間像に驚かされて、映像的にはとてもインパクトが有り、衝撃を受けるような映像タッチで、記憶には残ると言うか、センセーショナルな感じはするけれど、何だか特別な世界観の匂いの方が強くなって好きになれない作品だった。作品の評価はぐっと低い採点を確か自分はしたと思う。
自分でも巧く分析出来ないのだけれども、何故か彼の作品には馴染めない、その原因が知りたいのだけれども、理由が巧く説明出来ないでいる。
こう言う人種差別や、或いは人種に限らず、性差別や階級差別等々、障害者差別なども含めると様々な偏見や差別の中で生きている私達の日常とは、自分でも無意識の内に必ず、何処かで自分も差別と偏見の加害者と被害者の両方を往き来して両方の経験の中で暮らしているように思うのだが、みなさんはどうだろうか?

この作品のプロデューサーをブラピがしていているが、いかにも彼のプロデュース作品と言う気がする。幾多の苦労を経てその苦労が実りハリウッドの大スターとなった彼の生き方それが、そのままこの作品を産み出す要因になっている気がする。彼の私生活が彼の生き方を示している。そして彼が若くしてRRフォードに見出された事も大きな影響になり彼が制作者としての道を歩み始めた要因だと思う。
余りにも観るには辛い作品であった。しかしそれでも現実は更によりリアルなのだろう!

ryuu topiann