劇場公開日 2014年3月7日

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「実話的」それでも夜は明ける xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0実話的

2014年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

タランティーノ監督の「ジャンゴ」や黒人初のメジャーリーガーを描いた「42」。最近でも黒人差別を扱った映画はあった。
特に「ジャンゴ」はシチュエーションもよく似ていると思った。
しかし、タランティーノはこの問題を扱いながらも、映画のもっている
エンターテイメント要素を強く出していた。もともと、タランティーノはそのバランスをよく考えている監督である。
それに比べ、本作のスティーブ・マックウィン監督はリアリズムを強調する。それは前作「シェーム」でもよく現れていた。
特に、同じ黒人として徹頭徹尾リアリズムを貫く。
主人公が首つりされていたシーンは何分も同じカット。それにこの映画で、最も目を背けたくなるシーン、女奴隷に対するムチ打ちはこれでもか、これでもかと続いていく。
この映画の大きな見所は、黒人たちに対する白人たちの態度だろう。
第1の主人であるカンバーバッチ。
黒人に対して、能力あるものは受け入れようとする。ある意味でリベラルな白人だが、余計なもめ事は避け、手放す。
第2の主人はファスベンダー。
とにかく、憎まれ役を一心に受けるレイシストである。それであっても迷いがないわけではない。妻との不仲、うまくいかないビジネスのはけ口とする面もある、ある意味孤独な男である。
第3は大工役で登場するブラピ。
主人公に手紙を出してほしいと言われたとき、本音を吐く。それをすることは怖いと、でも、自分の信念を試されていると言う。そして行動する。
様々な人がいて、様々な状況があり、物事は単純には動かない。
でも、最終的にはより良きように動くのでないかと思う。普遍的な真善美に近づいていくのではと期待している。
そのためにも、マックウィン監督が国連で言葉が生きてくる。
>もし、私たちが過去を知らなければ、未来を築くことはできません。

xtc4241