劇場公開日 2013年12月20日

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「大人のヴァンパイア映画」オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5大人のヴァンパイア映画

2013年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

萌える

ヴァンパイアの主人公アダムとイヴを演じるトム・ヒドルストンとティルダ・スウィントン、それに老ヴァンパイアの文筆家マーロウのジョン・ハートを加えた3人の達者な演技に見とれる。血液を口に含んだあとの満たされた恍惚感と、同時に神経が研ぎ澄まされていく様子を表情の変化だけで表現する。巧い。若手の演技派筆頭といわれるミア・ワシコウスカも、さすがにかなわない。

この作品のヴァンパイアはむやみに人間を襲ったりはしない。何世紀もに渡る寿命を持ちながら、自分の時間を大切にした暮らしを送る。いや、時間があるからこそ生き急ぐ必要がないのかもしれない。時の流れに身を任せられる生活は人間にとって、とくに現代人にとって理想の姿といえる。
長い年月の中で、ときには歴史的な出来事に絡んできた彼らから見れば、人間の行動は他愛もなく浅はかで短絡的に違いない。
彼らヴァンパイアは夜しか街に出ない。『歴史は夜つくられる』を地で行くような存在だ。

派手なVFXはないが、現代社会が慢性的に抱える諸問題をすさんだ人間の体に流れる“汚れた血”に置き換えた風刺が垣間見える、大人のヴァンパイア映画だ。
すべてのシーンが夜だけという珍しい映画でもある。

マスター@だんだん