劇場公開日 2013年11月23日

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「お前暗いんだよ!」もらとりあむタマ子 因果さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5お前暗いんだよ!

2022年6月12日
iPhoneアプリから投稿

私には妹がいるのだが、それがちょうどタマ子のような性格をしている。常にジメジメと落ち込んでいて、世間のほとんど全てを悪だと思っていて、声も小さく、覇気もなく、フラストレーションが臨界点を超えたときだけ好き勝手怒鳴り散らす。

自分とは何もかもが対照的なのでもちろん兄妹仲はよくない。タマ子を見ていると実家にいた頃は努めて無視していた妹の生活を覗き見ているようでうんざりさせられた。悪口のレパートリーがあまりにも貧弱なところとか、ものすごいリアリティあるんですよね…

とはいえそんなものを活写することにいったいどんな面白味があるのかという疑問がある。もともと解像度の低い写真にわざわざ高画質化処理を施し、それを虫眼鏡で隅々まで観察しているようなものだ。

『どんてん生活』や『リアリズムの宿』が同様の手法で成功を収めている一方で、本作がそこまで煮え切らないのはなぜなんだろうか。前田敦子がちょっと美人すぎるというのはあるかもしれない。良くも悪くもコメディに耐えられる顔をしていない。だから結局近所のおにぎり坊主のほうが、タマ子よりもよっぽどキャラクターとして魅力的に思えてしまった。

というよりただ単に、私が妹を嫌いすぎているだけなのかもしれない。そういえばここ一年ほど実家に帰っていないな。

因果