劇場公開日 2014年6月27日

  • 予告編を見る

「鑑賞後、しばらく生肉が触れなくなりました。」渇き。 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0鑑賞後、しばらく生肉が触れなくなりました。

2020年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

鑑賞して食事ができなくなったのは、小説『バトル・ロワイヤル』を読んで以来。レイプ場面を含む暴力の、あまりの生々しさに、心がどころか、体が受け付けない。生理的レベルでの拒否…。

作品的には、考え抜かれて技巧を凝らした映画。

この場面にこの音楽使うか、とか、色彩とか、このカットをこう繋ぐかとか…。
  鮮血の赤・銀鱗のようにギラギラしていながら抑えた灰青・ポップな色調のメリハリ。徐々に狂った”三月うさぎの世界”にいざなわれる…

アニメーションなんて、離人感ってこんな感じ?と妙に納得。
  いじめや虐待の場面で”離人感”って聞くけど、現実の場面にアニメの場面が入っちゃうような感じなのかな?本当はどうなのかはわからないですが、現実感が薄れ解離しているってこういう感じ?というのが伝わってきて、うまいと思った。

某船着き場は、シュールさが際立った。
  あれだけの”非”日常なことが繰り広げられているのに、いつもと変わらず流れる”日常”の案内放送(BGMなしで効果音と台詞のみが四方八方から響き渡るという演出)。
  『ホテル・ルワンダ』での有名な台詞。「ニュースを観た人は『怖いわね』と言ってディナーを続ける」。そんな私達の有様が端的に表現されていたように思う。(自分の生きているのと同じ時間にこういうことって起こっているんだ)

目を見張ったのは、加奈子を演じた小松菜奈さんはじめ若い世代。清水さんや森川さんも良かったな。

でも全体的には観たことを後悔しました。
愛とは何ぞやと問う力作だとは思うけど。

役所さんはぎゃあぎゃあ騒ぎまくっているだけだし。
 尤もそういう中身のない男を演じているんだからしょうがない。(そういう意味では中身がないという演技、凄い)子犬ほどよく吠えるって言うけど、本当だ。『ブラック・レイン』と比較してしまう。否、役所さんと優作さんをじゃなくて、藤島と佐藤や菅井とね。

鑑賞して得たものは無かったかな。
上っ面を滑っている感じ。
中身がない人達ー気持ちや愛情を心にためることができずに、外に流れて無くなってしまう人たちーを描いているのだから、こんな感想が妥当なのかもしれない。
なんて思わせるなら、実は”表現”としては成功しているのかもしれないけどね。

いろいろなレビューを参考になさってから鑑賞することをお勧めします。
グロ場面が好きな方には好評みたいです。

演出・編集・音楽・色調・役者に見るものあるけど、
人に勧めたくないし、知人に観たことをカミングアウトしたくないので☆1つ。

★ ★ ★ ★ ★

R15。劇場公開時に行っていた学生キャンペーン。

高校生はそんなに馬鹿じゃないと私も思う。
  『バトル・ロワイヤル』はある子どもに「読め」と渡された。その子どもは「人間がこんなことできるのか」と必死に食い下がってきた。おお、まともじゃんと嬉しくなった。
  『進撃の巨人』ファンの子ども達は言う。「グロい場面は、あくまで漫画で、アニメーションで、身近にはない架空の世界。それより人間ドラマが面白いんだ」と、登場人物のやりとり等についてのコメントを熱く語る。(『進撃の巨人』は読んでないからわからないけど)へえ、まともじゃん。そういうところで人間関係や苦難を乗り越える方法を学んでいるのね。
  子ども達は私達が考えているより健全。大抵の子は、この映画のグロ部分を自分とは関係ない世界に閉じ込め鑑賞するか、本当に拒否るかするだろう。

でも、子ども達の0.01%位はこの映画に限りなく親和感を持つ。というか、このような関係性の中でしか暮らせていない子もいる。(0.01%以下であって欲しい)
  この映画の乱交パーティは『ウォール・フラワー』に出てきたドラック・パーティを彷彿とさせる。架空の世界ではなく、事実あったこと、あること。いじめの場面だって日常のすぐ隣にある世界。
  そんな状況を「子どもは純真」とばかりにオブラートに包むことは、藤島夫妻が加奈子を自分達の都合の良いようにしかみていなかったことと同じじゃないか、なんて考えた。

 高校生ともぜひこの映画を観た感想の話をしたい。見せっぱなしじゃなくて。フォローなくては見せられない映画だと思う。フォローがないままに、高校生に鑑賞券をばらまくなんて。
 勿論 親に、親だけでなく子どもに責任持つすべての大人にも観ていただいて、話がしたい。大人にはバラまいてでも、見ていただいて考えてもらいたい。

(なんて知性化し(考え)ながら観ている時点で、映画に感情移入できていない。)

「役所さんが主演だぁ」と鑑賞券に応募、当選。劇場にて鑑賞。当選されていただいたことには感謝するけれど、同時に後悔。
 もっとリサーチしてから応募しなければと、勉強になりました。

とみいじょん