劇場公開日 2014年3月29日

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「白ゆき姫が殺された!犯人は、赤毛のアン…?」白ゆき姫殺人事件 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0白ゆき姫が殺された!犯人は、赤毛のアン…?

2014年9月10日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

湊かなえの同名小説を中村義洋監督が映画化。
こりゃ思ってた以上に面白かった。
極上のミステリー!

化粧品会社勤務の美人OL・三木典子が、メッタ刺しにされ焼死体で発見。契約社員の映像ディレクター・赤星が取材を進めていく内に、同僚の地味なOL・城野美姫が容疑者として浮かび上がってきた…。

普通にサスペンス・ミステリーとしても面白い題材だが、ユニークなのは、証言やゴシップなど野次馬的に展開していく構成。
赤星の取材内容は、自身で調べ上げ掴んだ確たる証拠ではなく、信憑性を疑う証言や単なる憶測。
それが“真実”として報道され、さらに幼少時代の事件とは一切関係ない出来事をも含め、犯人に祭り上げられる。
ネット上では瞬く間に実名も公表され、誹謗中傷の嵐。
“容疑者は犯人か?”ではなく、“容疑者は犯人”と決め付けたいのだ。
便利になった情報化社会だからこそのリアルと恐ろしさ。
さながら、現代の魔女裁判。
現代社会の危うさを巧くすくい取っている。

後半は“容疑者S”城野美姫の独白。
ここで事件の真相が薄々見えてくる。
果たして犯人は彼女か? それとも…?
事件の真相は歪んだ人間感情にある。
それはネットやメディアだけでは見えてこない。

井上真央が地味なOLなのはご愛嬌だが、そこは演技力でカバー。
たまにやる気や覇気を感じられないイメージの綾野剛だからこそ(失礼!)、いい加減なディレクターが妙に似合った。(度々失礼!)
殺された三木典子は誰もが認める美人だが、性格も美人だったのか。これは菜々緒のハマり役。
その他キャストでは、貫地谷しほりが出番は少しながらインパクトを残し、TV司会者役の生瀬勝久は明らかにアノ人がモデル!(笑)

証言が食い違う「羅生門」スタイル。それぞれの証言の微妙な違いに注目。
“芹沢ブラザーズ”や“盗難事件”は事件を紐解くキー。
それらが巧く伏線として張られ、再度の鑑賞もオススメ。
ラストの“初対面”も秀逸。

噂や根拠の無い作り話が氾濫する昨今。
かく言う自分もゴシップは見るし、ネットもよく使う。ツイッターはやらないが。(単なる悪口の伝言板)
簡単に見るな、信じるな、と割り切れはしない。
言える事は一つ。
踊らされるな!

近大