劇場公開日 2014年3月29日

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「吉田拓郎の「ひらひら」を思い出した。」白ゆき姫殺人事件 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5吉田拓郎の「ひらひら」を思い出した。

2014年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

 この作品はミステリー作品ではありません。インターネットが登場して、SNSなるものが登場し、人間同士のつながりが希薄になり、更に、いい加減になって行く、その現実を嗤った作品であると感じました。そういう訳で、この作品の主役は井上真央ではなく、テレビ局の派遣社員を演じた綾野剛であったのではないのか、と思いました。とにかくこの男、余りにも軽過ぎるのです。ある意味、現代社会を象徴した人物です。この映画を観ていて私は、現代社会の軽佻浮薄さをあざ笑った、吉田拓郎の「ひらひら」という歌を思い出しました。(この歌、ご存じない方は YOU TUBE などで、捜して見て下さい。とてもいい歌です)
 湊かなえの原作ということで、かなり期待して劇場に足を運んだのですが、「告白」に比べると、かなり、散漫な印象を受けます。それは井上真央の幼少期にまで遡り、詳しく事件の遠因を描写しているからです。必要なのは判りますが、この描写、殺人事件には直接、関係ありません。
 この作品、よく黒澤明の「羅生門」と比較されますが、「羅生門」には無駄な描写が一切ありませんでした。それにしても、いい映画を作るというのは難しいことなのだ、ということを痛感させられた今回の作品でした。
 尚、海老名の映画館で10時10分の回を鑑賞したのですが、8割ほどの入りでした。興行的には、そこそこ成功するでしょう。

bashiba