劇場公開日 2014年1月18日

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「映画化故の欠点」バイロケーション 夜月さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0映画化故の欠点

2020年11月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

一見ホラーテイストで作られているが、それは一部のキャラクターの同一存在が持つアイデンティティが暴力性であるためによるもの。
実際には自身の同一存在が存在することによるそれぞれのアイデンティティに主題をおいたもので、SFなどでよく見られるテーマであると思う。
特に主人公を始め、偽物である同一存在側のアイデンティティに重きをおいているのは興味深い。
やや説明不足である感じは否めないが、2時間の映画であることを考えれば分かりやすく纏っていると思う。
設定の矛盾のようなものもあるがそこら辺は仕方ない。
個人的に気になったのはジャニーズを起用したキャラクターについて。
別にジャニーズを起用したことが問題なのではないが、このキャラクターは原作に登場しないキャラクターである。
加えて、登場する同一存在の中で唯一アイデンティティが語られず、ただアクションをするだけの存在であり、要するに物語に必要もないのに格好いいジャニーズのそれっぽいシーンを入れるだけの存在でしかない。
これがB級のクソ映画を前提にしているならばともかく、アイデンティティというテーマを扱いまっとうに制作をしようとした作品としてはチープに尽きる。
映画化ということでこのようなテコ入れは仕方ないのかもしれないが、残念ながら評価は下がる。
特に最後の場面で再登場し、おいしい所だけ持っていった時には萎えに萎えた。
このキャラクターの同一存在は先に言ったように何故生まれたのかが語られず、アイデンティティが不明でありながら、何故か本物を襲ってくるアクションシーンが2回も描かれ、2回目はそのアクションシーンすら別のキャラクターに持っていかれ、本物の安否は不明。
最後に登場したと思えば、この映画の重要人物を何故か和解した本物と同一存在が共謀して殺害。
俺たちは和解した、などと発言して場面を締めようとするがアイデンティティが語られていないためにこの和解がただの喧嘩からの仲直り程度の意味しかなく、見るに耐えなかった。

夜月