劇場公開日 2013年11月23日

「必ずまた会える、といいね・・・」かぐや姫の物語 シュナイダーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5必ずまた会える、といいね・・・

2013年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

かぐや姫に人間らしい感情を吹き込むことで、こんなにも奥行きのある竹取物語が出来上がるものなんですね・・・。
人間臭漂うかぐや姫には、思いっきり感情移入させられてしまいました。
それだけに、最後のシーンでは思わず涙してしまいましたよ・・・。
地球に憧れを抱く罪を犯したかぐや姫も、地球に絶望を感じてしまったかぐや姫も、まさに人間ならではの感情でした。

それにしても、自然と共に様々な感情を抱きながら過ごす、これが生きるってことなんだ、生きるって本当に素晴らしいことなんだ・・・そんなかぐや姫からのメッセージが、物凄く心に響きましたね!
生きていればいろいろとつらいことも起きますが、何も感じない、何の感情も持たないで生きるよりは全然マシ。
この世は生きるに値する場所なんだと、この映画を見て改めて再認識させられた次第です。

主題歌も本当に素晴らしかったですね。
映画の質をさらに引き上げるような、とても心に響く曲、そして歌声だったと思いました。

かぐや姫(朝倉あき)・・・う、美しかったぁ・・・。
そして高畑勲監督が仰る通り、なんて我がままな声なんだ(笑)
無機質な月で暮らしていた反動で、オテンバ姫になったのかな?
終盤のかぐや姫の心の叫びは、物凄く胸に響き渡りましたね・・・。

捨丸(高良健吾)・・・かぐや姫じゃなくても、こんないい男・・・女性ならまず間違いなく好きになってしまうでしょう。
決して結ばれることのない恋って、ホント切ない。

翁(地井武男/三宅裕司)・・・幸せの意味を履き違えてしまった姿が本当に悲しかったですね。
子供の幸せって何なのか、子を持つ親なら間違いなく何かを考えさせられたことでしょう。
地井さんの声、耳に焼き付けました!

媼(宮本信子)・・・いかにも宮本信子らしい味のある母様でしたね。
父様があんな状態でしたから、余計に優しさが心に染みました・・・。

相模(高畑淳子)・・・どこからどう見ても高畑淳子な感じが、妙にツボでした。
オテンバなかぐや姫に振り回される姿が、思いっきり似合ってましたね。

女童(田畑智子)・・・出てきた瞬間からもう虜になってしまいました!
いかにもジブリ映画に出てきそうな妙に愛嬌のある顔立ち、そしてかぐや姫の世話を甲斐甲斐しくこなすその姿・・・本当に可愛かったですし、めちゃくちゃ癒されました。

5人の大臣?さん・・・橋爪功が声を担当した皇子様、どう考えても声老けすぎでしょ(笑)
それと伊集院光が担当した右大臣、顔のインパクトありすぎです(笑)
まあそれにしても、人間の欲望って本当に醜いものですなぁ・・・。

御門(中村七之助)・・・今の時代なら、確実にセクハラで失脚するでしょうね。
まさしく俺様状態な御門様でした・・・。

最近のジブリ映画は、正直以前のように心から楽しめる映画が少なくてちょっと心配していたのですが、この映画はまさにジブリ全盛期を彷彿とさせるような本当に素晴らしい作品でしたね。
さすがは高畑勲監督、お見事でした。

シュナイダー