劇場公開日 2013年5月31日

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オブリビオン : インタビュー

2013年5月29日更新
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「惑星ソラリス」で役作り――宇宙飛行士役に挑戦したオルガ・キュリレンコ

「007 慰めの報酬」でボンドガールを務めた女優オルガ・キュリレンコが、ヒロインに抜てきされた新作SFアクション「オブリビオン」(5月31日日本公開)。「トロン:レガシー」のジョセフ・コジンスキー監督らしい、独創的な近未来のビジュアルに目を奪われる本作で、荒廃した地球に墜落する宇宙飛行士ジュリアを演じるために、キュリレンコは「惑星ソラリス」(1972)といったかつての名作からヒントを得た。実はスピードの出る絶叫系の乗り物が大嫌いというが、そんな彼女の支えになったのはやはり主演する大スター、トム・クルーズだったようだ。(取材・文/本間綾香 写真/堀弥生)

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「オブリビオン」の舞台は2077年。エイリアンの攻撃により壊滅した地球で、たった1人パトロールを遂行するジャック・ハーパー(トム・クルーズ)は、妻ヴィクトリア(アンドレア・ライズボロー)と地球の上空にそびえたつステーションタワーで生活している。ある日、いつものようにバブルシップを操縦して地球へ向かうと、墜落した宇宙船の中で眠る美女ジュリアを発見。過去の記憶を消されているはずのジャックは、ジュリアが繰り返し夢のなかに出てくる女性であることに驚き、胸騒ぎを覚える。

ミステリアスなヒロイン、ジュリアを演じたキュリレンコは、初めてこの映画の脚本を手にしたとき、これまでのどんなSF作品とも違う新鮮な驚きに興奮した。

「この物語がどんな結末を迎えるのか、まったく予想できなかったの。他の作品なら、途中でなんとなく読んだことのある脚本のような気がしてくるけれど、今回の場合は“一体この先どうなるんだろう!”って、ページをめくりながらドキドキしたわ」

一気に作品の世界に引き込まれたキュリレンコは、出演中の人気ミステリードラマ「マジック・シティ(原題)」の撮影の合間を縫ってマイアミからロサンゼルスに飛び、クルーズとの相性を確かめるオーディションにのぞんだ。

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「この映画はアクションだけでなく、ロマンスも核になっている。これは私にとって、とても重要なことなの。私は女性だから、恋愛や人間同士の関係を描いた作品じゃないと興味が持てないわ。男だらけのアクションオンリーの映画って、申し訳ないけれど全然面白くないもの(笑)」

ジャックとジュリアの関係が明らかになる中盤から、物語はスピードを増していく。誰もいないはずの地球で、謎の男(モーガン・フリーマン)に拘束されるジャック。その男が告げる真実は、何を意味しているのか。そして、ジュリアは一体何者なのか--?

「ジュリアはロマンティックであると同時に、とても強い女性なの。相対する要素を併せ持っているところが気に入っているわ。私がこれまで出演した大作のなかでは、あまり演じることのなかったタイプの役柄だから。ジュリアを演じる上で、アンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』とかSFの古典映画を何本も見直したのよ」

「トロン:レガシー」で斬新な未来世界を映像化したジョセフ・コジンスキー監督による、壮大で美しいプロダクション・デザインも目を見張る本作。人類が見捨てた地球は殺伐としながらも、どこか静謐な雰囲気が漂う。

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「この映画を見た人はみんなCGだと思うみたいだけれど、ほとんどの場面は実際に組まれたセットで撮影しているの。CGは、バブルシップのチェイスシーンのみ。ステーションタワーもスタジオに作られたし、雲の映像も投影されていたから、本当に空の上にいる気分だったのよ。屋外のシーンは、美術班が2カ月前にアイスランドに行ってセットを建てたの。私たちが到着したときには、崩壊したエンパイアステートビルができていて、荒廃したニューヨークの街がとてもリアルだった。観客がスクリーンで見る映像と同じ状況で演じることができるって、役者にとってはとてもありがたいことよ」

コックピットに座ったクルーズがフルスピードで空中を駆けめぐるさまに、「トップガン」時代からのファンは胸が熱くなるかもしれないが、これに同乗したキュリレンコは生きた心地がしなかったとか。

「あんな恐ろしい状況、隣にトムがいてくれたことが救いだったわ。トムがその場にいる限り、すべてはあるべき状態にコントロールされているの。私はジェットコースターも大嫌いだし、コックピットなんて仕事じゃなかったらお断りよ(笑)」

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