劇場公開日 2013年8月17日

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エンド・オブ・ウォッチ : 映画評論・批評

2013年8月20日更新

2013年8月17日より丸の内TOEIほかにてロードショー

語り口と演出を凌駕するギレンホールのパワフルな演技

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同じ地区を扱った、かつてのデニス・ホッパー監督作「カラーズ 天使の消えた街」がどこかのどかと思えるぐらいに「エンド・オブ・ウォッチ」はヤバイ。もはや撮影地巡りの観光エリアにピックアップするような場所でないことは確かだ。それが、ロサンゼルスのサウス・セントラル近辺。ストリート・ギャングではなく、FBIが血眼で追うメキシコ系麻薬カルテルが街の支配に乗り出し、危険のレベルが格段に上がった。パトロール警官も命が惜しければ、うかつにカルテルのヤクやカネに直接手を出してはいけない。しかし、犯罪があれば犯人を追いつめるという本能に突き動かされた、ブライアン・テイラージェイク・ギレンホール)とマイク・サバラ(マイケル・ペーニャ)のパトロール・コンビは、その危険をおかしてしまった。カルテルは二人を邪魔な存在とみなして、暗殺指令を地元ギャングに発する。

映画の語り口として採用されたのは、とにかくギレンホールが仲間紹介を兼ねて撮影しまくるデジカムほか、小さく携帯可能なキャメラが<臨場>を演出する方法で、それ自体はさほど珍しくはない。演出のキャメラと、この同時ムーブするキャメラの差がいまいち判然とはしないが、そのあたりはギレンホールのパワフルな演技でどうでも良くなる。それほどギレンホールの役者としての炸裂が半端ないのである。あの変態的名品「ドニー・ダーコ」以降、桁違いな成長力をみせてきた役者であれば当然だ。今回のパトロール警官役で肉体を鍛え上げて挑んでいるが、たとえば、パーティ・シーンにおける手拍子、ダンスの腰の捻りなどにこれまでになかったギレンホールの魅力が出現。巧い。

監督のデビッド・エアーは「フェイク・シティ ある男のルール」等で、悪徳刑事を描いたりしたが、今回はまっとうな警官に焦点をあわせている。市警全面協力ということで、納得。というか、あんな所をパトロール、誰もしたくないよね

滝本誠

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