藁の楯 わらのたてのレビュー・感想・評価
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何を守るか?
SPがクズを警護する時、弁護士が凶悪犯を弁護する時、医者が死刑囚を治療する時、どれほどの葛藤があるのか解らない。はっきり解ったのは、自分はお金の為に人は殺せないし、守れないだろうという事。「10億が無かったら殺せたのに」この台詞が一番しっくり来た。でも、自分の家族が被害者だったら…。出来るだろうか?でも、それでも相手の命を奪ったら、死ぬまでそいつとの関係が断ち切れないわけで、もしかしたら死んでも家族や後世の人まで巻き込む事になると思うと…殺せない。申し訳ないけど死刑執行する人や、裁判官や裁判員の人に全てを背負って頂く事に手を合わせ感謝するだけだ。この瞬間にもそのような仕事に就いて懸命に任務を果たして頂いている方たちに心から感謝したいと思う。
星、三つ半です
何も考えずふらりと立ち寄りチケット購入したが、監督を見たら三池さん。(悪の教典のイメージが強すぎて)やっちまったと思いつつ鑑賞。
悪の教典ほどえげつない内容ではないが、何ともスッキリしない後味感は否めない。リアリティに欠ける。(そもそもこんな事態は起こらないが、仮に起こったとしてこういう状況にはならないという、否定的な思いが最初から最後まであったためだろう)
ラストの場面、目的地到着までが省略されて、場面が変わったがその部分をもう少し丁寧に描いてほしかったな。犯人がなぜ人間のクズになったのかもわからないまま。
藤原竜也はハマり役です。
クズを守るな、己を守れ。
三池崇史監督が気合を入れてアクションを撮るとかなり面白い……
そういう意見の人間なので、本作は楽しみにしてました。
なので最初に書いてしまうが、
“期待していたほど派手なアクションは無かった”というのが正直な所。
最も大掛かりだった高速道路上の爆破シーンも、
CGや寄りの画で誤魔化してるように見えたので、ちょっとね。
それに、セリフがややステレオタイプなのも気になった点(死に際の遺言等)。
だがサスペンスドラマとしての強度は見事なもの。
犯人・清丸のクズっぷりが増してゆき、
主人公らの葛藤が増してゆくに連れてぐんぐん面白くなる。
あらすじを聞いた時は『10億円を懸けたってそうそう人は殺さないし、
第一警察が止めるでしょ』と思っていたが、この辺りもなかなか。
・有罪判決を前提にした取引である。
・蜷川本人が雲隠れしていて事実確認の手順すら踏めない。
この2点は巧い。
おまけに襲いかかる人間は自分の家族の為に清丸を殺そうとする者ばかりで、
自分の為に10億儲けたいという人間は殆どいない事も後に分かる。
他人の為に動く人間は後先を考えない。だから怖い。
(設定の似ていた『S.W.A.T』などより遥かに説得力がある)
ラスト。主人公・銘苅が清丸を殺さなかった理由。
初めは自分の為。
自分に嘘をつかなければ生きられなかったから。
その後は死んだ仲間の為。
清丸が死ねば、仲間が何の為に死んだのか分からなくなるから。
それでも彼の決断が正しかったのかどうか、僕には未だに分からない。
「死んだ人間は喋らない。喋れないんだよ。」
枯れ草のように痩せ衰えた老人の抱えた、
生半可な綺麗事など吹き飛ばすほどの、深い深い恨みと哀しみ。
そこに共感する。
自分の欲望を吐き出す事しか脳になく、子を想う母の死さえ利用する、感情が狂ったクズ。
そんなのは死んで当然だと心から思う。
けれど。
あの男は自分が殺される時でも相手の激怒を喜んでへらへら笑うだけだろう。
ならばそんな奴に心を振り回される事自体が不愉快だ。
それにあの男を感情に任せて殺してしまえば、
自分が少しだけあの男に近付いてしまう気がする。
「俺はてめえとは違うんだよクズが」と、
相手を侮蔑し罵る権利を少しばかり失ってしまう気がする。
それはどうも、癪に障る。
主人公が清丸を殺さなかったのは、そんな思いもあったのではと、勝手に考えている。
〈2013/4/26鑑賞〉
骨太で見ごたえたっぷり
骨太のサスペンスアクション映画で、すごく面白かった。登場人物がとても人間味あふれる描かれ方をしていた。松嶋菜々子なんていい女感がまるでなく、本当におばさん臭さを強調して描かれていて、人間臭さがあふれていた。大沢たかおは昔は蛇のような目のイケメンだと思っていたのだが、ちょっとふっくらして人生の苦渋があふれるような存在感となっていた。
すごくよかっただけに残念な部分を指摘したくなって、日本人で安易に発狂する人はそんなにいないような気がするし、短時間で準備もできないと思う。警察の規範意識ももっと高いように思った。新幹線で現場検証するなら先頭車両を外して、それに乗って東京に直行すればいいように思ったし、大沢たかおが時間厳守にこだわるのもちょっと違うような気がした。クライマックスの警視庁の前に群衆が詰めかけるのもないかなとか、あそこで藤原竜也寝すぎ、山崎努が斬りつけるのも無理があるかなと思った。藤原竜也が気持ち悪い変態の役で、悪者っぽくなろうと頑張っていたのだが、オレはハロヲタ時代に本物のキモヲタのロリコンを見ているので、やっぱり物足りない感じはした。
山崎努が車から降りて歩み寄る場面の向かい風がすごかった。神戸駅で女の子を人質に取るおじさんの荒みっぷりがすごかった。岸谷五朗にはもっと暴れて欲しかった。
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