恋愛交叉点

解説

「不景気さよなら」「吼えろ!ヴォルガ」と同じくアルベール・プレジャンとダニエル・ダリューが顔合わせする映画で、「巴里の女」のリュシアン・バルウが共演する。脚本は「巴里の女」「泣き笑い千法札」のイヴ・ミランドが書卸して、台詞も書いた。監督にはレオ・ジョアノンが任じ、撮影は「女だけの都」のハリー・ストラドリングが「南方飛行」のロベール・ルフェーヴル及びジャック・メルカントンと協力した。歌曲は「第二情報部」のジャン・ルノワールが音楽は「不良青年」のジョルジュ・ヴァン・パリスが作曲している。助演者は「白き処女地」のシュザンヌ・デュプレ、かつて「征服されし人々」に出たアンドレ・ロアンヌ、同じく無声時代よりの古参ジャンヌ・エルブラン、エルミール・ヴォーティエ其の他である。

1935年製作/フランス
原題:Quelle drole Gosse!

ストーリー

パリのある葡萄酒会社の社長さんがボール・ゴオドワンは秘書のリュシーに思し召しがある。所が類い稀なる堅造のポールは秘書を口説くのを潔しとしない。で彼はリュシーを解雇した。主従の関係を絶って結婚を申し込もうという考えである。とは知らぬリュシーは秘かに想いを捧げていた社長に愛想を尽かされたと早合点して、其の夜セーヌ河に身を投げた。それを通りかかって救ったのは金持ちのガストン・ヴィラレエだ。所が女は怒って又候身を投げようとする。困ったガストンは女を自動車に乗せて帰宅した。ガストンの邸はお客で賑わっている。彼はそれを忘れて飲み歩いていたのだ。びしょ濡れの女を連れて戻った主人公の顔を、召使いのアルフレッドが呆れて見詰めたのも無理はない。アルフレッドは風邪をひかぬ様にとリュシーに酒を勧めた。酒は美酒だったか彼女は酔った。酔って暴れて彼女は眠った。がそれは狸寝入りでリュシーは屋根の上に登って歌い出した。ガストンは余興にも、と夜会の席に連れ出した。リュシーはトラになってガストンの許嫁に喧嘩を吹っかけて大騒ぎとなり、お客達は皆帰ってしまった。ポールはやむなく彼女を自分の部屋に押し込めた。翌朝は家中が大洪水だ。酔ったリュシーが浴室の水道栓を開け放しで寝たからである。ガストンはホトホト困ったが、追い出すと自殺の惧れがあるので、扉に鍵をかけて外出した。鍵をアルフレッドが持っていると知ったリュシーは、鍵を渡せ、と家中彼を追い掛けまわした。女に手出しもならずアルフレッドは傷だらけとなり、これは堪らぬとガストンに電話をかけて呼び戻した。彼が帰ると、自殺したがる訳を話すから、一緒に行って呉れという。着いた所はポール・ゴードワンの会社の門前だ。ポールが出て来た途端、リュシーはガストンに接吻した。でガストンはリュシーをポールに渡して厄介払いをしてホッと安堵の胸を撫でたのである。所がリュシーは又やって来た。ポールの胸に抱かれてみたが一向胸がときめかない。どうやらあたしはガストン、貴方を愛してるらしいわ、というのだ。嫣然たる笑顔でそう言われると悪い気持ちはしないので、ガストンは試しにリュシーを抱いてみた。すると二人の胸はドキドキと共鳴したのである。

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