劇場公開日 2024年3月22日

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「西部劇らしからぬ大作!」続・夕陽のガンマン 地獄の決斗 ノブさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5西部劇らしからぬ大作!

2024年4月1日
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鑑賞方法:映画館

興奮

ドル3部作の3本目となる今作、見たことないかもと思ってたのですが、ラストでテュコが墓場を走りまわるシーンが記憶に残ってたので、テレビで部分的には見たことあったようです。

前2作と違い、大作に仕上がっておりエキストラも大勢でお金かけてるなあと思いました(笑)
卑劣漢とか悪玉、善玉って画面説明出るのがなんか不思議な感じがしました。
普通そんな説明でないでしょ、見てればわかるはずなので。
というか善玉のはずのイーストウッド演じるブロンディって懸賞金掛けられた男と組んで捕まえては逃がし、捕まえては逃がしで、懸賞金を何度ももらう懸賞金詐欺やってるやん!
ということで3人とも悪人だが、ブロンディだけは無駄な殺しはしないし、何と言ってもイーストウッドが演じてるのでついついブロンディに肩入れして見てしまいます。
「夕陽のガンマン」でモーティマー大佐を渋く演じたリー・バン・クリーフですが、今作は名前はエンジェルだが容赦なく人を撃ち殺す残忍性を持ち合わせた役となり、悪玉になってしまいました。
そして卑劣漢のテュコが今作の中心的人物で状況を見極めてコロコロ態度を変え、金の亡者みたいな役を演じてます。が卑劣ではあるが極悪人という感じでもなくいい味出してます。

今作の特徴としては南北戦争をストーリーに大きく絡ませているところです。
ラストの北軍と南軍の戦い、橋の爆破のシーンなど、いつのまにか西部劇から戦争映画になってる!?て感じです。何を見せられてるんだ?という疑問が一瞬頭をよぎりました。
レオーネ監督はなんのためにそういった戦闘シーンを挿入したのだろうか?
もちろん西部劇テイストの見せ場もあります。砲弾が飛び交う中でのエンジェル一味5人と一時的に手を組んでいるブロンディ、テュコの対決シーンや、ラストのトライアングルでの決闘シーンは見応えたっぷりでした。
でも、その前のテュコが一人で墓場を走って走って探し回るシーンが強烈でした。
人間って欲望を満たすためならエネルギーが無限にあふれ出てくるかのような、テュコの喜びを爆発させて疾走する姿。
あのシーンだけは大昔に見たはずの私の記憶に残ってたくらいですから。
それとは対照的な南軍と北軍の何のために戦っているのかわからないような戦い。
個人の欲望とは無縁の戦いで多くの人が負傷し死んでいく。
どうせ死ぬなら己の欲望のために戦って死んだほうがましではないのか?とでも言いたげなレオーネ監督の演出。
人によって受け取り方は様々かなとは思いますが、先のことを考えて橋を残す両軍に対して、今を生き抜くためにはあの橋を爆破して南軍を撤退させるしかないと考えたブロンディがテュコを連れて橋脚にダイナマイトを仕掛け爆破するシーン。なんだか爽快でした。

そしてラストで死なずに済んでかつ分け前までもらえたのに、感謝などせずブロンディに悪態をわめき散らすテュコの姿に人間の滑稽さ愚かさを感じるとともに、怒りや欲望が人間にエネルギーを与える原動力なのだという人間賛歌のようなものも感じました。

なかなか奥が深いですこの西部劇。
なので☆半分おまけです。

ノブ
トミーさんのコメント
2024年4月13日

コメントありがとうございます。
監督の正直な想いが感じられて、やらされみたいで無かったのが良かったです。

トミー
トミーさんのコメント
2024年4月13日

共感ありがとうございます。
酒に溺れる大尉や両軍酒臭い下りとか、戦争の恐怖から逃れようとする描写、自然な批判眼が感じられますね。

トミー
トミーさんのコメント
2024年4月12日

爆薬設置のシーンが「ナバロンの要塞」みたいで何でこんな場面が? と思いました。ブロンディが正直でないのはこのシーンで濃厚匂わせ。

トミー
2024年4月4日

ノブさん、なるほどそういう違いがあるんですね!何も知らないでウェスタン見てる自分が怖くなりました。ジュリアーノ・ジェンマ、青い眼でしたっけ?ウェスタンに疎い私も素敵だと思いました!

talisman
2024年4月4日

ノブさん、コメントありがとうございます。スパゲティ・ウェスタンってアメリカ・ウェスタン(ほとんど見て無いんですが)と何か違いがありますよね!

talisman
2024年4月4日

三部作の中でこれが一番こなれているというか見どころたっぷりで面白いと思いました!

talisman