劇場公開日 2024年3月22日

「問答無用の面白さでねじ伏せられます」続・夕陽のガンマン 地獄の決斗 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0問答無用の面白さでねじ伏せられます

2018年9月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

突っ込みどころは結構あるが、そこは時代劇同様、お約束という事でカッコ良ければすべてよし
許されます
あまりのカッコよさにしびれ通しの3時間弱です
冒頭のテーマ音楽でもうノックアウトです

本作ではありきたりな西部劇を脱し、よりスケールの大きな大作を狙ったものというのがよく分かります

単純な勧善懲悪を廃して、卑怯者を配置することでお話に広がりをつくり一種のロードムービーをなす構造になっています

さらにスペクタクル要素を作る為に、時代を少し遡って舞台を南北戦争末期に置きます
これによりお話がさらにスケールアップしました

見所はやはり、橋を巡る南北両軍の戦闘と爆破
そしてトライアングルでの決闘の半端ない緊迫感
そしてその二つに挟まれたシーン
瀕死の南軍兵士に自分のコートを掛けてやり、葉巻の最期の一服をさせてやります
死を見届けてコートの代わりに傍らにあった彼のポンチョをもらってその場を離れます
そして次のシーンはそのポンチョを纏っています
そう!荒野の用心棒、夕陽のガンマンでのあの姿がここで現れるのです
ここのカッコ良さは前二作を観てないと分かりません
よって、お話は全く別なのに邦題は「続」夕陽のガンマンなんです
とにかくしびれます

そしてラストシーンでようやく卑怯者と紹介されます
この小粋さ!ったらありゃしない

本作の公開は1966年です
米国の公民権法施行は1964年
法的にはそれによって黒人差別は撤廃されたはずですが、現実はそうではなく黒人の平等を求める運動は先鋭化し各地で大きな暴動まで起こっていた時期です
南北戦争はご承知の通り、南部の奴隷解放拒否に端を発しています
本作では奴隷制度を死守しようとする南軍が敗色濃厚として描かれます
つまり南北戦争を題材に選んだのは当時の時流に沿ったものだったのです

あき240