劇場公開日 2013年11月1日

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42 世界を変えた男 : 映画評論・批評

2013年10月22日更新

2013年11月1日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

作り手の情熱が惜しみなく注がれたベースボール映画の新たな傑作

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本作はアメリカの全球団 (独立リーグやアマチュア含む)が永久欠番にしている背番号42、黒人初のメジャーリーガーとなった英雄ジャッキー・ロビンソンの伝記映画である。

1945年、ブルックリン・ドジャースの会長ブランチ・リッキー (ハリソン・フォード)は、ニグロリーグで活躍中の黒人選手ジャッキー・ロビンソン (チャドウィック・ボーズマン)と電撃的に契約し、下部組織3Aのモントリオール・ロイヤルズに入団させる。当時は人種差別が激しく、有色人種のメジャーリーガーはいなかったため、彼は他球団の選手、コーチはもちろん、チームメイトやファンからも差別を受ける。そんな逆風の中、ロビンソンは1947年4月15日 (のちにこの日がジャッキー・ロビンソン・デーとなる)、ドジャースの本拠地エベッツフィールドに立つ……。

L. A. コンフィデンシャル」「ミスティック・リバー」の見事な脚色で知られる監督・脚本のブライアン・ヘルゲランドは、ロビンソンの激動の半生をだらだらと描くのではなく、ロビンソンがリッキーと出会ってからメジャーリーガーになるまでの3シーズン(約2年間)に焦点を当てて脚本を構成した。この歴史的偉業の裏にある様々な立場の人間の思いをすくい取り、伝説の「産みの苦しみ」を観る者に共有させる脚本が素晴らしい。

新人ボーズマンはホームランに盗塁と、驚異の身体能力を見せつけながら、血気盛んなロビンソンを好演。一方、ベテランのフォードは優しく大らかな眼差しで主人公の成長を見つめる。そんな2人が新しいメジャーリーグの在り方を開拓するために、差別を乗り越えながら前進する姿に胸が熱くなる。リアルなベースボール・シーン、正確な時代考証がなされた衣装に至るまで、作り手の情熱が惜しみなく注がれたベースボール映画の新たな傑作だ。

サトウムツオ

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