劇場公開日 2012年11月10日

「ただただ惨殺を繰り返すシーンには抵抗感をもつが・・・」悪の教典 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ただただ惨殺を繰り返すシーンには抵抗感をもつが・・・

2012年11月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

三池崇史監督は、時代劇などより一見あり得ない突飛な素材を現実味のあるものに仕立てた現代劇のほうが合っているようだ。
本作はカメラアングルやカット割りが上手く、シーンごとに画面から躁と鬱を感じる。スコープサイズのワイドな画面にも無駄がない。日本でスコープサイズを使いこなせる数少ない監督の一人ではないだろうか。

主演の伊藤英明は、爽やかな表の顔と狂気の裏の顔をもつ蓮実にコワいぐらいハマる。ほかの教師や生徒たちのキャスティングも申し分ない。

タバコの火でペットボトルの灯油に引火させる無茶な演出はあるが、映画的には許容される範疇だろう。

問題は、とにかく無差別に殺人が繰り返される内容だ。とくに後半の散弾銃で生徒を殺しまくるシーンは酷い。
おそらく原作では、人物や事件の背景がもっと細かに肉付けされているのだろうが、本作を見る限り蓮実はただの殺人魔で、無抵抗の人間をただただ惨殺する映像を見せつけられる。これには、さすがに抵抗感をもつ。

だが、こういう人間が居ないと断言できるだろうか?
捕まっても精神鑑定の結果次第でまた社会に放たれる恐ろしさに含みをもたせたエンディングで、やり過ぎの世界から冷たい現実へと軌道修正された思いだ。

マスター@だんだん