劇場公開日 2013年12月13日

  • 予告編を見る

「思考よりも視覚で楽しめ」ゼロ・グラビティ N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0思考よりも視覚で楽しめ

2021年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

映画館で、ましてやiMaxなどで観なくてよかった、と思うほどの圧倒的映像。
もし観ていたら絶対に酔っていたと思う。
民間で宇宙旅行が可能となった昨今、宇宙からの映像は手軽かつ鮮明に見られる。
比べても遜色ないどころか、同じにさえ感じられる宇宙や施設、機材の再現度がすごかった。
(スペースシャトルが現役、というところに古さを感じる程度か)
これには当時、みなが腰を抜かしていたこともうなずける。
のみならず全編が無重力設定だ。
ゆえのあの動きとカメラワーク。船内、船外、寄ったり、引いたりはどうやって撮影したのだろう、あまりCGっぽさも感じられず興味は尽きない。
(と思えばメイキングで見る限り演者を装置で吊ったり、回転させた映像へCG加える手順だった。工程は緻密かつ複雑ながら、仕上がりのシンプルさがどうやって撮影したのか不思議に思わせているのだろうな、と思う)
スペースシャトルからISS。ロシアのソユーズから、中国の宇宙ステーションを経て中国の帰還船と、オールスターな構成もサービス満点で見ごたえあり。

細かいところを考えると「それはオカシイ、ムリムリ、なんでやねん」と思わないわけでもないが、
ノンストップの脱出サスペンスと思えば、次々襲い来るアクシデントをかいくぐり、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ、
諦めそうになっても奮い立ち、手に汗握るどころか、最後は運を天に任せる潔さで感動さえ与えてくれる本作。
やはり観るのは、それら怒涛のジェットコースター展開の途切れなさであって、
引き立てるスキなき映像もあわせれば、まだまだ十年後だろうと通用しそうな作品だと感じた。

一番引き付けられたのは、たくさんの破片と共に大気圏突入のシーン。
「ファーストマン」なども合わせてみると、あの恐怖がなおさら肉迫、とお勧めしたい。

N.river