劇場公開日 2012年2月4日

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「その引き金を、引くのか。引かないのか。」ハンター(2011) ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0その引き金を、引くのか。引かないのか。

2012年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

まず、兎にも角にもウィレム・デフォーが格好良い。
自身を多く語らぬ孤高のプロフェッショナルを体現しとります。
『燻銀』なんて言葉は、デフォーみたいな役者に一番相応しいのかもしれませんね。

まだからって、彼が“円熟期に入った”とか“渋味を増した演技”になったとか、今更そんな表現で褒め称えるつもりはないですよ。
元々それらの要素が備わってる俳優さんなんで。

ただ、この映画の彼はやっぱ格好良い。

何故、格好良いのか?
多くを語らぬ故、脳内補正が存分に発揮されるからかもしれません。
主人公のバックグラウンドが皆目見えてこないから、その代わりに想像力で補わなきゃならないっていう。

『恐らく独身で、今迄一人で生きてきたのだろう』とか、本職は一体何やってるんだろう?本当にハンターなのだろうか?引退した軍人かもしれないぞ?とか、色々こちらで彼のプロフを仕立て上げるみたいな。
そうは言っても、彼の一切合財に手掛かり皆無な訳じゃなくて。劇中じゃ好みの音楽や自身の生活様式やら仕事のポリシー、そういった己の美学に忠実な部分は結構触れられてるんで、それなりの背景はあるというか。

まあそんな漠然とした人物像をこちらで描き出しつつも、物語は緩い推進力ではありながら、確実に進行してく訳で。
あらゆる感情も、彼の中で芽生えてくる訳で。
怒りや苦悩や葛藤、主人公の人生で恐らく最大であろう障壁にも段々とぶつかってく訳で。

その中で、彼はどういう決断を下すのか。
ハンターとしての責務を全うするのか。
やがてぶち当たる最大の試練にどう立ち向かうのか。

手にしたその銃!
引き金を引くのか?
或いは引かないのか!?
……。
おお~、そうくるかデフォー…いや分かってたよ、アンタならそうするって。
格好いいなあ、男だぜ。

そんな感じで鑑賞。堪能しました。良かったです。

ロロ・トマシ