劇場公開日 2012年11月17日

「「気持ち悪い作品」です。「自意識過剰監督」の「売名作品」です」ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q モジモジショウさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0「気持ち悪い作品」です。「自意識過剰監督」の「売名作品」です

2013年1月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

難しい

寝られる

映画館で見ましたが、一言で言って「気持ち悪い」です。「気持ち悪い」というのは、いろいろな意味があって…

まず映像的に「グロい」です。「ショッキング映像の乱発」で印象付けしようとする作者側の「意図」が見え見えです。ホラー系でないかぎり、映画作品では「最低レベルの表現手法」です。それに作品自体の独自の表現手法が相まって「気持ち悪さ」を一層引き立てています。視聴中に「脳」が「吐きそうになった」といえば、わかりやすいでしょうか。

二つ目は「内容の難解さ」。この作品が「初エヴァ」の人は、まず理解不能でしょう。エヴァファンだとしても、この作品の筋書きをキチンと説明できる人がどれだけいるのやら?と思うくらい難解です。初エヴァの人の中でどれだけの人が、この作品で新たなエヴァファン(内容面で)になるのだろうか?甚だ疑問です。

監督の「俺の世界観を見せ付けてやる」的な「過剰な自意識」を強く感じるし、また「解る人、エヴァファンのみ見ればいい」みたいな、「過去のエヴァ人気」の上に「あぐらをかいている」様を見るようでもあります。

作品を見終わった後に、作品の内容や登場人物についてではなく、「これ作ったのは誰だ?」という所に、視聴者の関心が行くよう「過剰に狙って」作られた感が否めなく、監督の売名心、虚栄心が非常に強く伝わってきます。

作者や監督の名声は当然ながら「作品を通して伝わる」ものですが、この作品の監督はその「作品を通して」って事を、どうも勘違いしているようです。

本来監督とは「よりよい作品にするために作品自体に謙虚に貢献すること」で名声を得るものでしょうが、ここでは単に「エヴァという題材を利用して売名する」という感じを否めません。ですから「エヴァを見た」というより「監督自身を見せられた」って感じであり、作品世界より監督の自己主張が前面に出ています。

過去のエヴァ作品は、形而上学や弁証法などの哲学的なキーワード、そして宗教、社会学、はたまた人類の起源に通じるような問題を提起し、それを現代アニメの求心力(ロボット系、萌え系、恋愛系など)にうまく合致させたという、それ以前までのアニメでは想像すらできなかった「新たな境地」を開拓した感がありましたが、

この作品はそんなエヴァにとって、正直言って「エヴァの落ち目」になる作品ではないだでしょうか。「エヴァはもう既に過去の作品だ」と思わせるような作品にしか思えてなりませんでした。

ただ、ひとつ高評価をするならば、「映像クオリティー」は逸品物。作画、構図、バランス、動きなど、すべての要素がズバ抜けてます。アニメにもジャンルがあるので一概には言えませんが、このレベルの作画が出来るのは、世界でもこのエヴァスタッフ達だけではないだろうか?そう思えるくらいすごい。ここは十分に一見の価値があります。

ほぼ全般通してCGですが、だからといって他が真似出来るようなレベルでは決してありません。ですからこの作品については、「映像のクオリティー」と、「エヴァ作品としての評価」とを、しっかり分別して評価すべきでしょう。

総評として…ここまでの映像クオリティーを実現できる手腕があるのだから、監督が売名や虚栄心にとらわれず「謙虚な気持ち」で臨みさえすれば、それはすごい作品になったであろうという点で、非常に残念な作品。

映像クオリティーの件もあって、評価は「星二つ」。

コメントする
モジモジショウ