劇場公開日 2012年3月24日

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「災害系パニックムービーじゃない…だと?!」テイク・シェルター 昭和ヒヨコッコ砲さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0災害系パニックムービーじゃない…だと?!

2023年9月11日
PCから投稿

①主人公のカーティスは受動的な人間である
②不況によって短納期を求められ、カーティスはストレスを抱えている
③カーティスの母は統合失調症を患っている
④統合失調症は遺伝のリスクがある

カーティスは度重なる悪夢からやがて未曾有の大災害になるであろう嵐の到来を確信する。
しかし、前述の要素から
・カーティスは、本当に正常なのか?
・これも悪夢なのでは?
・これは統合失調症の幻覚なのでは?
・次のシーンには汗をびっしょりかいてカーティスが目を覚ますかもしれない
と真実がその場では分からずに「どっちだ?」という目で彼を見続けることになる。
しかし、家族を守るという決意と使命感に駆られて、孤独に泥臭く、必死になっていくカーティスの姿が「冷静になって欲しい」と願うと同時に、「誰か彼のこの気持ちに寄り添ってあげて欲しい」という気持ちにさせる。

妻のサマンサは賢く、現実的な人物で、カーティスの言動に戸惑いながらも覚悟を決めるシーンにはとてつもない頼もしさと気高さを感じられる。
一方で娘のナットは夫婦の判断基準、動機になる役割であって、家族の問題において常に蚊帳の外に置かれ続ける感じがある。
彼女の手術ができなくなりそうとなったときに映し出されるのはサマンサ(母)の絶望であって、彼女ではなかったりと基本的に影が薄い。
故にどこかに消えてしまいそうな不安感があるのだけど。

最後のシーンは個人的には現実だと思っている。
ナットが統合失調症で~となると、この先満足に行動できるのがサマンサ1人になるし、それでは折角繋ぎ止めて固くなった家族の絆の意味が乏しい。
カーティス1人では雑にしか作り上げられなかったシェルターは彼女のフォローがあって初めてちゃんと機能する方舟なのだと私は思った。

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昭和ヒヨコッコ砲