劇場公開日 2012年9月8日

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「でっかい?が出ました」夢売るふたり ノリミッチーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0でっかい?が出ました

2013年8月1日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

難しい

面白くありませんでした。
だけれども、見終わってから色々と思考を巡らすと、始めのそれとは違ってきます。

独特な視点の作品を作り続ける西川美和監督。コメディイメージの強い俳優を据えての最新作ということで、期待して鑑賞しました。

夫婦による結婚詐欺を主軸にした映画で、あまり良い印象は受けませんでした。
何しろ、主役二人が犯罪を犯す側ですから、どうあっても倫理的に誉められるわけがありません。
しかし、その行為はさておき、この映画の面白さは、どうやらその心内にあるようです。

物語が進むにつれ、登場人物の思惑が垣間見れるのですが、それは善意なのか悪意なのか?
愛情なのか憎悪なのか?
利己なのか利他なのか?
場面一つ一つにその両方が込められており、見る側としては混乱してしまいます。初見で面白くないと感じた理由もこの為です。
「人間は単純ではない。色々な面を持ち合わせている」と言われてしまえばそれまでですが、物語を提供するという意味で言えば、そのやり方は、どんな展開もアリになってしまうのでは…。

見ている私自身が、良心の呵責に耐えきれなくなりそうで、見終わった後は愕然としました。

しかし、時間を開けて熟考すると、初見とは違う側面も見えて来ました。「むしろ、単純なのにどちらにも転びきれない不安定な存在、それが人間」なのかと。

そして、物語後半に風俗嬢のくだりがあります。それがキーポイントに思えてきました。
もしそうだとしたら、相当意地悪な仕掛けです。(誉め言葉

私の思い込み過ぎでしょうか?
本意はどうなのかと、考えれば考えるほど混乱します。

でも、心に残る作品なのだから、やっぱり凄い映画です。

俳優の演技も素晴らしかったです。
阿部サダヲは、コメディ色を消して危うい夫を。
松たか子は、言葉少ない虚ろな妻を。
そして、脇を固める俳優陣の有り体は見事の一言です。

考えて考えて、唸りたい方にオススメです。

ノリミッチー