劇場公開日 2012年9月8日

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「夢を売り、金を取り、愛を失う」夢売るふたり 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0夢を売り、金を取り、愛を失う

2012年9月9日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

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慎ましく小料理屋を営む夫婦が居た。
突然、不注意から店が火事になり、全てを失う。
再建の為、妻は働くが、職に就けない夫は重荷に感じる。
偶然知り合いの女性と会い、抱く。その女から大金を貰う。
その事を知った妻は夫に詰め寄るが、ある考えが浮かぶ。
妻がターゲットを選び、夫が口説く。
ターゲットは輝きを失った女たち。結婚という夢を売る。
女たちは次々と落ち、懐に大金が転がり込む。
再建の為、夫は抱き、妻は苦悶する。
再建のメドが立ち始めた夢間近、二人の間は軋み始める…。

冒頭の二人には夢も愛もあった。
が、結婚という夢を売り始めてから、愛は何処に?
結婚を売る夢は妻の腹いせでしかなく、夫は罪悪感を感じ安らぎを求めるようになる。

擦れ違うモヤモヤとした心と心。
道を踏み違え、ズルズルと続く悪循環。
人生の危うさと繊細さを見事にすくい上げる西川美和監督の手腕は、現代屈指。
それを完璧に体現した松たか子と阿部サダヲも賞賛モノ。

騙される女たちも十人十色。それぞれの背景とドラマがある。
中でも江原由夏演じるウェイトリフティング選手と安藤玉恵演じる風俗嬢が出色。

夢を売り、金を取り、愛を失う。
それでもラストシーンには愛が失われていない事を信じ、希望を感じた。

近大