劇場公開日 2012年8月4日

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「カーペンター版が好きなら観て置くべき作品だ もちろん本作だけでも楽しめる」遊星からの物体X ファーストコンタクト あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カーペンター版が好きなら観て置くべき作品だ もちろん本作だけでも楽しめる

2019年1月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

良いリメイク
1951年のオリジナル版を基本に1982年のジョン・カーペンター監督版を上手く組み合わせている
本作を一番最初に観ても単独で成り立つ様にできている
素材の良さを存分に活かしており十分に怖い
観賞後の感覚もカーペンター版に近い

カーペンター版、オリジナル版へのリスペクトが随所に現れている

タイトルバッグも前2作のものを踏襲している
ただ書体を変えたのはいただけないが

オリジナル版のニッキに相当する役をケイトとして主人公に据えたのがまず成功のポイント
カーペンター版ではオリジナル版でキャラの立っていた博士をバッサリとカットされていたが、本作ではオリジナル版に近い設定
しかも俳優の容姿が良く似ている
これは当然意識して配役したのだろう
博士の最後はもう少し見せ場か欲しかったところ
確かに終盤で顔がでてはくるのだが

音楽も前作のエンリオ・モリコーネの雰囲気を忠実に再現しており、ラストシーンではそのものズバリも使われる
音響効果もサラウンドで後ろ後方でカサコソ音が動くと怖さ倍増

物体Xの表現はCGが発達しただけあり、リアルさ増している
解剖シーンのグロさも満足いく出来映え
チープ感や劣化感は全くない

ただCGは前作やオリジナル版の時代には考えも出来ないことを何でも映像にできるようになった
しかしそれが却っていけないこともある
雪上車の転落シーンは別に入れる必要は無いシーンだ
却って嘘ぽくなっているだけだ
もっと抑制してどうしても撮りたい見せたいものに絞らなければ肝心のシーンまでが説得力を失ってしまう
CGは所詮嘘、まやかしの映像という限界を知って使うべきだと改めて思う

そしてスリルとサスペンスを盛り上げるセンスは、超一流のカーペンター監督にはやはり及ばない
悪くはないのだが、前作が圧倒的に素晴らしすぎるのだ
それと比較するのは酷というものだ

それでもカーペンター版が好きなら観て置くべき作品だ
十二分に楽しめるはずだ

しかし観る順番はオリジナル、カーペンター版、本作の公開年順をお薦めする
本作を先に観てしまうとカーペンター版の凄さが分かりづらくなるし、オリジナル版のハワードホークスの演出の上手さに目が行かなくなってしまう

あき240