劇場公開日 2011年9月17日

  • 予告編を見る

「強欲な奴、狡猾な奴、惨めな奴」女と銃と荒野の麺屋 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0強欲な奴、狡猾な奴、惨めな奴

2013年1月15日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

怖い

中国の大荒野にぽつんとある中華そば屋。
経営者ワンの妻は従業員リーとデキていて、夫を殺そうとしていた。それに気付いたワンは悪徳警官チャンに妻の殺しを依頼するが、チャンはワンの大金を盗もうとしていた…。

チャン・イーモウが、コーエン兄弟の「ブラッド・シンプル」をリメイクしたブラック・コメディ。
チャン・イーモウにしては珍しい作風。詩情溢れる作品や情感たっぷりの作品のイメージが強いので。
荒野の広大な映像や色とりどりの衣装はチャン・イーモウの武侠映画を彷彿させる一方、人間の欲やエゴを浮き彫りにする。

強欲であったり狡猾であったり惨めであったり、当時人物の頭の中にあるのは自分の事だけ。
それぞれの思惑が交錯した時、思いもよらない事態が起こる。一度外れた歯車は、雪だるま形式にどんどん悪い方向へ広がっていく。
広大な荒野の中でうごめくちっぽけな人間模様に、可笑しさと哀しさと皮肉を感じずにはいられない。
いつものチャン・イーモウ作品を期待すると肩透かしや違和感を感じるが、コーエン兄弟の精神はしっかり受け継がれている。

近大