劇場公開日 2011年8月13日

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「報復と赦しの物語」未来を生きる君たちへ マツドンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0報復と赦しの物語

2019年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

報復の連鎖をどう断ち切るのか?
深いテーマを背景としながら、スリリングに展開するストーリーに引き込まれました。
破綻した治安やレイシズムといった国際社会の問題と、いじめ、親子の断絶、夫婦の別居といった家族の問題とのオーバーラップ。
それを一つの物語に収束させる作り手の力量。
やられた、って感じです。

現実的な問題であり、かつ哲学的な問題でもある、その問いに
監督なりの一つの思い(いや解答でしょうか)
が示されていたように感じました。
でも、それがこの映画の限界になってしまっているようにも思うのです。
つまり、その思いというか解答というか、それが不正解だとかいうことではなく、
「問いと答え」というとらえ方をされるその形式が
物語の広がりを限定しているような。
道徳的な規範の提示にあやうくなりかけている
その境界線にある映画であるような、そんな気がするのです。
私たちが生きるこの世界に答えはない。
だから私たちは映画を見続けているように思うのです。

でも、いい映画ですよ。
そんなこんなで、評価は4。

マツドン