劇場公開日 2011年12月9日

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「「ロッキー」のロボット版と想像してしまうのはもったいない」リアル・スティール マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「ロッキー」のロボット版と想像してしまうのはもったいない

2011年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

暗く沈んで、ひねた子供が登場するのかと思ったら、口の達者なこましゃくれたガキで、大人を前にしても物怖じしない。これが、一攫千金を夢見る父親と、堅実で計画的な息子の対比で笑わせる。
近い将来ありそうだが、ロボットによるボクシングというアイデアがいい。これを、誰もが「ロッキー」のロボット版と想像してしまうのがもったいない。

前半と後半とで試合の見せ方を微妙に変えていくところに注目だ。
最初はロボットが戦いのための道具でしかない。息子のマックスとアトムのコンビになってからは、ロボットとコントロールする人間が一体化していく。
さらに巧いのは、いかにも旧型といった風体の“アトム”が得意とするのが、目の前の人間の動作を真似るという設定だ。ロボットに人間味が加わり感情移入しやすくなる。

その逆のことを、無敵のチャンピオン・ロボット“ゼウス”に設定している。最新型でいくら強いといっても、それだけではこのロボットに敵意は感じない。そこに、カネに物言わせるオーナーと非情な設計者を組み合わせることによって、“ゼウス”を悪役に仕立て上げた。

試合も、動物園の見世物試合から、前座、そしてビッグなメインイベントへとスタイルが変わり、試合の連続でも飽きない。とくに大きな会場では、会場に設置された大型モニターの映像が効果的に使われ臨場感を増している。

リング外のゴタゴタも忘れていない。因縁の元チャンプ・リッキーとの金銭的トラブル、チャーリーと師の娘・ベイリーの関係、そしてマックスの親権問題を絡め、ドラマに幅をもたせる。しかも、それらの結末をごちゃごちゃと描かないところがいい。言わずもがなのことをバッサリ切れるショーン・レヴィ監督は、さすがにスピルバーグやロバート・ゼメキスに見込まれただけのことはある。

監督が日本贔屓なのか、“アトム”という名といい、ボディに「超悪男子」とペイントされたロボットが日本語に反応する。しかも腕には“贖罪”などの過激な文字が点灯して笑わせる。

以前は、スピルバーグが関わって子供が出る作品は幼稚なものが多かったが、最近は大人が楽しめる作品が目立ってきた。

マスター@だんだん