「・・よっしゃああ!!」劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5・・よっしゃああ!!

2011年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

幸せ

「SR サイタマノラッパー」などの作品で知られる入江悠監督が、次回作「ヒミズ」において演技力が高く評価されている二階堂ふみを主演に迎えて描く、群像劇。

知名度の高い楽曲をテーマに、映画を描く。こうした作品の作り方は、「ハナミズキ」然り、「涙そうそう」然りで、それほど珍しい手法ではない。あくまでも「モチーフ」として音楽が使われ、楽曲とは「あんまり・・脈絡ないですぜ」という作品も残念ながら多々生まれているので、

「曲の名前を借りただけですね」

と言われるジャンルのものが無い、とも言えないのが実情である。しかし、本作に限っていえばその先入観は、大きく裏切られることになるだろう。

過激な描写が光る楽曲もさることながら、動画サイトといった極めて現代的なツールを用いたライブ活動などで、世間から高い注目を集めているバンド「神聖かまってちゃん」。本作は彼等の誇る名曲「ロックンロールは鳴り止まないっ」を看板に掲げ、様々な在り様の人間達が彩る物語をまとめ上げるオムニバス映画である。

それぞれの小さな物語には奇抜な驚きは無く、むしろ淡々と、追いやられていく人間の葛藤と衝動を細かく繋ぎ合わせていく。これだけならば一般劇場で拡大ロードショーに挑む価値は無く、それこそ「かまってちゃん、遂に映画化!?」と週刊誌の小ネタになるくらいの作品だが、本作が観客の興奮を呼び覚ます異色作にしているのは、やはり題名の楽曲の熱、引力である。

冷淡に描かれる無感動な毎日の積み重ねは、全てはラストのライブシーンのためにある。鬱憤が、諦めが、孤独が、たった一曲の力で色を変える。世界が変わる。少し、笑顔になる。これだけの圧倒的な魅力を秘めた曲を見つけ、堂々とオムニバスを結集させる可能性を信じた作り手の眼は、確かなものだ。

意外と上手い「かまってちゃん」メンバーの演技を微笑ましく思いながら、心がすっと晴れ渡る音楽映画としても評価できるてんこ盛りの作品。退屈な日常を胸を張って突っ走る力を与えてくれる愛らしい一本である。

ダックス奮闘{ふんとう}