劇場公開日 2012年11月2日

「カタルシスはない、これが現実」のぼうの城 西向くさむらいさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カタルシスはない、これが現実

2014年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

配役が素晴らしい。のぼう役は野村萬斎以外には考えられず、佐藤浩市、山口智充がそれぞれの持ち味を100%活かした役で固める。その中だからこそ、成宮寛貴や榮倉奈々らの軽さが良い方に引き立っていた。

原作にあった、非現実的すぎて浮いてたのぼうのタメ語が、映画ではギリギリ許容範囲の程度に抑えられていてよかった。

結局負けてしまうし、姫とのハッピーエンドはないしでカタルシスはないかもしれない。
けれどこれが現実というものであろう。
圧倒的な現実の中で、(どこまで史実通りかわからないけど)最良かつユーモアのある選択をした、その妙を味わいたいものである。

エンディングで、地名や堤といった、現代にかすかに残る痕跡を見せたのがしみじみする。

野村萬斎は独特すぎて、他と比較ができない。

西向くさむらい