劇場公開日 2011年6月24日

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「映画っ子には堪らない1本」SUPER 8 スーパーエイト マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画っ子には堪らない1本

2011年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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予告篇とは一部カット割りが違う。本篇はモンスターの気配を極力消した出足になっていて、何かが出てくるのが分かっていても、なかなかその正体を現さない手法は「ジョーズ」だ。光の扱いや、一瞬の静けさの間のとり方、夜の田舎町のロングショットは「未知との遭遇」、そして昼の街並みの雰囲気と赤と青がはっきりした色調、これは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を連想させる。まさにJ・J・エイブラムスによるスピルバーグ讃歌といえる1本だ。

だが、往年のスピルバーグ作品に見られる少年少女の冒険物語とは明らかに異なる。「グーニーズ」で違和感を覚え、とうとう「E.T.」を観に行かなかったとしても、この作品には惹かれる。
まず若干ではあるが、少年たちの年齢が少し高い。親に面と向かって反抗もするし恋もする。秘密を「言っちゃダメ」から「言うなよ」に引き上げている。とくにジョーとアリスの恋の行方にスポットをあて、ただのモンスター映画とは一線を画した。ジョーが想いを寄せるアリスに心ときめかせながらメーキャップをするシーンや、嫉妬したチャールズに「両想いなのが気に入らない」と吐かせるあたり、スピルバーグにはまずあり得ない演出だ。
では、それだけでお子ちゃま映画から脱皮できたたかというとそうではない。少年たち一人一人が、信念と勇気を持って仲間のために戦う戦士として描かれているからだ。
タイトルが「ジョーズ」でもなければ「E.T.」でもないのは、モンスター襲来によるパニックや、宇宙人とのコンタクトがテーマではないからだ。「SUPER 8」という8ミリ映画の制作を共有する仲間の、背伸びしたちょっぴり甘くてほろ苦い成長物語なのだ。この点は、昨年公開されて好評だった「リトル・ランボーズ」と似ている。

ちょっと残念だったのは、ジョーの母親に対する思慕の強さを表す、その根源になるようなエピソードがないこと。母を亡くした悲しみを観る側が感情移入できていたら、ラストがもっと感動的なものになっていたことだろう。

子供の頃「俺たちに明日はない」(67)のスローモーションに憧れて8ミリカメラを手にし、スピルバーグの「激突!」(日本公開1973)でそのカメラワークと編集の卓越した上手さに驚嘆した自称・今でも映画っ子には堪らない作品の1本になった。

マスター@だんだん