「玉砕より投降(降伏)を選んだ男」太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5玉砕より投降(降伏)を選んだ男

2022年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2011年(日本)平山秀幸監督作品。

ナレーターがアメリカ兵の英語ですので、日米合作映画かと一瞬
思いました。
なるほど原作がアメリカ兵だったドン・ジョーンズの実録小説・・・
『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』を原作としていたのですね。

当時(1944年)敗色濃い日本軍は45000の米兵に対して数百人しか残っていなかった。
ただし、日本の民間人が150人位も生活してたのですね。
大場は逃げ延びる途中で、民間人の投降をいち早く促しています。
大場の隊はゲリラ化してタッポーチョ山中を駆け巡り神出鬼没でアメリカ兵を翻弄した・・・
これも事実なのですね。

そして生き残った日本軍の大場大尉率いる連隊は、最終的に死ぬことより生きることを選びます。

アメリカ兵の攻撃から512日間も生き延びたのです。
投降したのは1945年の12月のこと。
ポチダム宣言でとっくに第二次世界大戦が終わっており、
日本軍が戦争に負けた事すらサイパン島の日本兵は知らなかったのです。

アメリカ人の目線の原作ですので、多少の違和感もありますし、米兵が友好的で、
“なわけあるかい・・・”的描写も多いです。

しかし大場栄と言う方は聡明な生き方上手な方とお見受けします。
地理教諭をしていた1934年20歳で徴兵を受けて陸軍に入営。
そして将校を目指して出世を重ねて大尉となる。
リーダーの器だったんですね。

1945年12月1日の投降の際の式たりは投降式典に則って行われたのです。
映画は全く嘘がなくその通りだったそうです。
投降のシーンは厳かで感動的でしたね。
(降伏の証として、軍刀をアメリカ軍将校に手渡した証拠の写真は現存しているそうです)
(アメリ人が写したと言うことでしょう、作者のドンさんかもしれませんね)

大場栄大尉は、アメリカ人からも日本人からも尊敬される立派な方だったのですね。
やはり当時の日本兵の決断としてはミラクル!
まさに『太平洋の奇跡』ですね。

琥珀糖
みかずきさんのコメント
2022年9月1日

琥珀糖さん
みかずきです

この作品、戦争映画でありながら、生きること、生き延びることをテーマしているので、よく覚えています(こちらのサイトには未投稿です)。

仰る様に、我々が、今まで学んだ太平洋戦争から考えれば奇跡的な出来事ですが、主人公のような行動を取った人達は少なからずいたのではないでしょうか。成功例は稀だったので奇跡というタイトルにしたと私は想像します。

余談ですが、本作レビュー、キネ旬の一次選考を通過して、最終選考で落選となったので、そういう意味でもよく覚えている作品です。

では、また共感作で。

-以上-

みかずき