劇場公開日 2011年1月15日

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「ソーシャル・ネットワーク(かなり観れる)」ソーシャル・ネットワーク 宋3世さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ソーシャル・ネットワーク(かなり観れる)

2011年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

知的

サクセス・ストーリー、アメリカン・ドリーム物語として観れば平均点以上の映画なのだろうが、その後、当該フェースブックが中東の民主化革命の原動力となった経緯を思うと、この映画がマークやエドアルド等の作者サイドのエピソードだけで、時代性としてのユーザーの側の描写が一切無く、従って携帯電話の威力も登場せず、作者や1制作会社の意図とは無関係に1人歩きして、あっと云う間に世界を席巻するITモンスターとしての側面の迫力が希薄だった不満を感じたのは小生だけだろうか?。ちなみにエドアルドは監修として制作に全面的に参加し、マークの方は映画制作に対する関与を一切断り、後で映画を観て「着ている衣装はソックリそのままだが、内容は出鱈目だ」と云ったそうである。
 この映画の監督フィンチャーは50歳前で「ベンジャミン・バトン」の監督でもある。これは老人として生まれた主人公が成長と共にドンドン若返り赤ン坊まで逆走する話で、恋人と年齢クロスが起こり本人は少年に恋人は母親の年齢に近付くと云うスピルバーグの企画だったらしい。似たような話としては日本では押井守のアニメ「スカイクロラ」がある、ヒロイン草薙素子が青春のまま年を取らず娘と同年輩となって悩む話であるが、共に人間の老いと、死、不老不死の願望などを逆手に取ったブラック・ユーモア作品だが、テーマが哲学的過ぎて映画向きで無く双方とも舌足らずで失敗作であったが、恐れず挑戦する姿勢は鬼才と呼ぶに相応しい。今の所、スピード一辺倒の剛速球投手のような印象で、それがアカデミー賞にノミネートされながらもう一歩のところで受賞を逃がしている原因だが、いずれ華麗な変化球もマスターした暁には賞を総なめにする勢いと、天性のリズム感がある。
           宋3世

宋3世