劇場公開日 2011年1月15日

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「天才・・・それ故の過信が好きになれない。」ソーシャル・ネットワーク sigeさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5天才・・・それ故の過信が好きになれない。

2011年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

前置きをしますが、監督デヴィッド・フィンチャーは大好きな監督です。
「エイリアン3」から「ゾディアック」まで
世間では凸凹“フィンチャーの法則”と言われようとも
評判の悪い作品でもどこかにこだわりを感じていて・・・それが仮に雇われ監督であっても・・・
どの作品も愛着を感じていました。
難産で監督自身、キャリアから抹消したいだろう「エイリアン3」だって
劇場公開時にそのビジュアルに圧倒され
何度も見返しました。
劇的に“トーン”が変わった「ゾディアック」でも大好きです。

それでも更に変化があったのが前作「ベンジャミンバトン」。
一度観た感想は、
“やっぱり「フォレストガンプ」なのね”と
自分の嗜好に合わなかったことを“脚本家の色の違い”だと言い聞かせていました。

決して前評判を聞いていたからではありません。
しかし、正直この映画の良さが分かりません(評価で“オーソン・ウェルズ”がよく引き合いに出されます・・・)。
たしかにファーストカットで主人公の性格も伝わりますし、
ラストカットだって、あそこがなければこの映画、救いはありません。

この映画をみた瞬間、思い浮かんだ映画が一つ。
「ビューティフル・マインド」。
同じ天才を描いて、精神に異常を来してしまって・・・等々、
確かにフィクションが過ぎる伝記映画とも感じなくもないと思います。
しかし「ビューティフル・マインド」の方がエモーショナルだったと思いますし、私はこちらの方が好きです。

私が一番この映画に共感できなかったのは
おそらく、主人公だと思います。
これは天才に対する嫉妬なのか、
それを取り巻く人々の浅い次元の“欲”に溺れた姿への嫌悪なのか、
はたまた技巧的(CGとかではない)映画術を知らない私の無知ゆえか・・・。
技巧的に優れていたかもしれませんが、
私は前述のエモーショナルな部分、
“感情的に登場人物にノるかソるか”が自分の中での
映画に対する尺度だと感じました。

大好きなデヴィッド・フィンチャーだからこそ考えてしまう
そんな映画でした。

sige