劇場公開日 2011年1月22日

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「完全なる“間違った”報復」完全なる報復 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0完全なる“間違った”報復

2012年10月13日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

知的

映画開始早々、悲劇は起こる。
平凡な男クライドの目の前で妻子が殺される。
二人の犯人は捕まるが、決定的な証拠が無い。
そんな時、犯人の一人が証拠を提供し、検事ニックはやむなく取引をする。
犯人の一人は死刑になるが、もう一人は減刑される。
クライドは納得出来ないが、司法の壁に阻まれる。
…10年後、減刑になった犯人が惨殺される。
手を下したのはクライド。逃げも隠れもせず捕まる。
だが、これは単なる始まりに過ぎなかった…!

納得しかねる取引、腐敗した制度、復讐…重たいテーマを扱いながらも、上質なエンターテイメント・サスペンスとしても楽しめる。
平凡な男と思っていたクライドの正体は、実は…!
クライドの犯人以外の復讐の相手とは…?
二転三転するストーリーでグイグイ引き込ませる。

納得出来ぬと分かっていても司法取引をしてしまったニック。
そんな彼の前に、被害者家族だったクライドが犯人として現れ、ニックに取引を促す。
葛藤するニックの姿に、法は絶対な正義なのか?盲点は無いのか?とメスを入れる。

「完全なる報復」というタイトルには違和感を感じる。
クライドの犯行を肯定しているような気がするからだ。
家族を殺されたクライドの悲しみは分かる。彼を強行に駆り立てた司法取引への怒りも分かる。
しかし、クライドが行った“完全なる報復”は、恐ろしい犯罪に過ぎない。

右京さんだったら声を荒げてこう言うだろう。
「あなたのした事は間違っています!」

近大