劇場公開日 2010年3月20日

「韓国作品の底力」息もできない kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0韓国作品の底力

2014年10月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

難しい

取立て屋サンフンにとっての一筋の光は同じような目をした女子高校生、ヨニだった。
彼が彼女に言った一言が心に沁みる。「どうやって生きていったらいいのか教えてくれないか…」「私を幸せにすることを考えて生きて…」
辛い過去によって自分の存在を暴力の中でしか、見いだせなかった男。一方、ヨニも戦争での忌まわしい体験(これも最大の暴力)から発狂してしまった父親や、金欲しさから短絡的に暴力の道を選ぶ弟を持つという、同じような辛い家庭に身をおいていた。そんな二人が心通うようになったのは必然だったのだと思う。主人公がようやくマイナスをゼロにして、踏み出すことを決めた矢先、自らの「つけ」を支払わされることになる。
やはり…と予想できる展開だったが、ヨニが弟に、サンフンの姿を重ねみていたと思えるシーンは泣けてきて、切なかった。
演技ではない、役者たちの圧倒的な真実味を持った暴力シーンに、それこそ息苦しくなった。暴力、暴力、暴力。その本質は連鎖だという事を徹底的に知らしめている作品。でも、それだけでなく、暴力の痛みは心の痛みでもあったということもきちんと描いていた作品だった。

sonje