劇場公開日 2010年2月5日

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「揺らぎのない人生、揺らぎのない映画作り」インビクタス 負けざる者たち マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0揺らぎのない人生、揺らぎのない映画作り

2010年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

結末が分かっている話。それも見どころまでも分かり切った話を、やはり画面に釘付けにする力量。イーストウッド作品は、ほんとに身体を預けて観ていられる。
この人が仕掛ける悪戯もいい。彼自身が持つイメージ、とくに事件性を感じさせる部分を巧みに使ってくる。冒頭の新聞、終盤の旅客機がそれで、前者は一気に観客を映画に引きずり込み、後者は少しダレてきたところを引き締めにかかる。旅客機のエピソードは実際にあったことだが、事前にパイロットがスタジアム周辺を下調べするシーンからして怪しく描かれている。
2時間そこそこで国をひとつにまとめあげたという構成にしなければならないので、表現に多少デキすぎな部分もあるが、今現在、南アの国情はどうなっているのか気になる。エンド・ロールに入ったところで、黒人の若者がラグビーの練習試合をしている絵が出るが、その空き地の向こうに見えるのは原子炉ではないのか。もしかしたら、白人と黒人が居住する地域はまだ隔絶されているのかもしれない。

マンデラが口にする「我が魂を支配できるのは我のみ」という言葉に、何があっても屈しない強い意志を感じた。その行動に一点の揺らぎもない。
今作のマット・デイモン、肌がつやつやして若々しい。
試合の臨場感、効果音、そして音楽もいい。

マスター@だんだん