劇場公開日 2009年10月9日

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「新しい倫理を問う裁判劇かと思ってたが、そうではなかった」私の中のあなた Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5新しい倫理を問う裁判劇かと思ってたが、そうではなかった

2013年3月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

難しい

総合85点 ( ストーリー:80点|キャスト:90点|演出:85点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )

 裁判で新しい倫理問題や法律を問う映画かと思っていた。だが実際は家族の問題と愛情を描いたものだった。その意味では裁判の話や倫理性という主題はやや中途半端に終わったかと思うが、反面病気の子供のいる家族模様の描き方は素晴らしかった。
 それを盛り上げたのは登場人物たちで、みんなとても出来が良かった。特に姉のケイト役のソフィア・ヴァジリーヴァは熱演だった。姉を愛しながらも両親を訴えるという矛盾した行動をとる妹アナ役のアビゲイル・ブレスリンも良かった。母親役のキャメロン・ディアス、娘の弁護士のところに怒鳴り込んでみたり、浜辺に行く家族を止めようとしたり、すごく感情的になって人の意見を全く聞かないくらいに盲目的になっているなと思ったら、実はこれが前振りだった。自分は感情的になって人の言うことを聞かない人が好きでないので、彼女は好感度という点では見ていて少し嫌な印象もしたのだが、物語上の演技というか伏線という意味では上出来。対照的に落ち着いて家族を見守る父親もいる。ケイトとひと時の幸せな時間を共有する病気の少年テイラーもいる。そのような登場人物一人一人の物語を知り、それらが混ざり合い、一つの家族の悲しく美しい物語になっていたと思う。

 時系列が頻繁に前後していくのはちょっと混乱した。どれがどの時なのか解り辛い。ケイトの将来については想像がついたが、裁判がそれにどう関わってくるのかがはっきりとしなかった。見るからにやつれて体力もなく手術に耐えられそうもないケイトに、この裁判がどのような意味があるのだろうかという疑問もあったので、当初は意味のない裁判のように思えた。結局は家族のための裁判ということで納得出来た。

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Cape God