劇場公開日 2009年10月9日

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「究極の家族愛。爽やかな感動。」私の中のあなた mori2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0究極の家族愛。爽やかな感動。

2009年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

キャメロン・ディアス、女優キャリア初の母親役に挑戦!“名子役”の呼び声高い、アビゲイル・ブレスリンちゃんと親子役で共演。この秋一番の感動作!として、お薦めできる映画です。

 非常に重いテーマを扱った作品ですが、決しておどろおどろしくなく、むしろ非常に爽やかなテイストで描かれています。もちろん“難病系映画”ですので、要所要所では避けて通れない“重くなるシーン”が出てきますが、そこへ至るまでは、本当に優しいタッチの“ファミリードラマ”が展開されます。ですから泣けてくるシーンも“ジメっ”とした涙ではなく、目の奥から自然と湧き上がってくる感じの涙を体感することが出来ます。これから深まる“秋”という季節に、ピッタリの1本だと思います。

 “初の母親役”(←これまで無かったのが不思議…)、キャメロン・ディアスがんばってますよ。キャリアを捨てて娘のために迷い無く邁進する母親を、彼女が本来持ち合わせている明るさと相まって、非常にパワフルに熱演しています。アビゲイルちゃんは、相変わらず芸達者ですね。もお何か観ていて貫禄すら感じます。まだ13歳?いやあ、末恐ろしい。しかし本作で最も輝いているのは、ケイトを演じたソフィア・ヴァジリーヴァ嬢ですね。闘病生活の影響で殆んどのシーンがスキンヘッドだったのですが、暗さを感じさせず、むしろ前向きに明るく生きたケイトを、弾けんばかりに熱演しています。うん、よ~くガンバった!
 女優陣に比べると、影が薄い気がする男優陣ですが、アレック・ボールドウィンが珍しく(?)“いいひと”を演じていて、強烈な印象を残してくれます。何か顔は悪そうなんですけどね(^^;。そして今回何と言ってもよかったのが、父親ブライアンを演じたジェイソン・パトリックでしょう。妻ほど熱情的にはなれないけれど、家族のことを常に考え、みんなを影で支える不器用な父親役を、とても地味ではありますが好演しています。特にケイトがドレスアップしてパーティに向かう際に、ブライアンの前に立つシーンでの彼の演技・表情には、娘を持つ同じ父親として吾輩、号泣させられてしまいました。しばらく見なかった(一時、アイドル的に売れましたモンね「スピード2」や「スリーパーズ」なんかで)気がしますが、いい役者さんになりましたね~。

 『ドナーとしての子供を産むことは、許されるのか?』『アナが、ドナー提供を拒否することで、ケイトが死ぬのは仕方ないのか?』『母であるサラは、どこまで娘・アナに無理を要求できるのか?』倫理的に突き詰めて考えて行っても、答えの出せない問いかけが、この映画にはたくさん出てきます。吾輩も観ていて『いや、それはアカンやろう?』『でも、そうしたらもっとヒドいことになるか…』と、ずっと自問自答してしまいました。答えなんぞは出てこないのですが。でも、この映画のラスト近くで『アナが何故、両親を訴えたか?』という問いの答え(結末)は、とてもとても辛いけど、愛に満ち溢れた純粋な想いの結晶であると、吾輩は感じました(あまり詳しく書いてしまうと《ネタバレ!》になってしまいますので、控えます)。それが正しい答えなのかは、誰にも判断できないと思いますが、“家族愛の一つの究極の形”であるとは言えると思います。抱く思いは色々違えど、皆が皆自分のこと以上に家族のことを思い、考えている…。素晴らしい家族の絆が、スクリーンに描かれる“出色の1作”です。

mori2